投稿者: さつき



相撲部屋見学をしたくて知人の伝手を辿り申し込みました。相撲好き女子三人ワクワクで見学。部屋付きの親方や案内してくれた方に御礼をいい、友人たちと帰路につきました。夕方の両国あたりは道を歩いているだけでも沢山若いお相撲さんを見かけます。「さっき、自転車に乗ってたお相撲さん可愛かったね」などと盛り上がりながら打ち上げの蕎麦居酒屋に向かって歩いていた時です。ここから恐怖?が始まりました。まだ、日が暮れてないのに。
「うわ、ヤバイ!」
突然、友人の一人(Aとします)が急に後に飛び退きました。振り返ると慌ててバッグからハンカチを出している様子。
「烏?鳩?やられたの?」
と私が笑いながら話しかけると、もう一人の友人(B)が私の右手方向を真っ青な強ばった表情で指さしています。
「⚫光院だよ、ここはダメなやつだわ。逃げるよ!」
浴衣を着ていたB、巾着から白い紙包みを取り出し、最初に声を出したAに何かを振りかけて私とAの手を引っ張りどんどん足を速めていきます。
「え?どこいくの?お店あっちよ!」
私は慌てて制止しようとしました。次の角を曲がった路地でBは立ち止まりました。
「ゴメン、驚くよね。歩きながら説明するね」
「A, 大丈夫?歩けるね? まだ、店の予約時間まで間があるし、落としにいくよ」
さっきは真っ青と感じたBはいつもの落ち着いた様子になっていました。しかし、Bはハンカチで口元を押さえ顔面蒼白。私だけわからない何かがあった?などとキョトンとBを見つめていました。
いつの間にかBは紫の房のついたクリスタルみたいな数珠を出してAの肩や頸をバンバンと叩きながらごく短い御経みたいな何かを唱えています。
「悪いけど、すぐ近くに不動明王あるからそこだけ行ってから呑みにするよ」
BはAの脇を抱えるようにしているので、私は取りあえずAの荷物を預かりタクシーを拾いました。
タクシーの中でBはこんなことを私たちに話しました。
先ほど、Aが立ち止まったのは⚫光院の門前で、門の中には無縁仏が信じられないくらい大量に供養されている。東京は関東大震災や東京大空襲で膨大な無縁仏が供養された事。相撲も鎮魂と関わりがあること。普通の人間のオバケ化した霊魂は遅くとも百年くらいで現世から去ること。
オバケ化した霊魂は分量が多いと塊になり悪いものを集めて消えにくくなること。戦わず逃げるほうが能率がよいこと。最後に「鳥インフルエンザも穴掘って石灰で消毒して埋めてるじゃん。」とB。
BとAと私でよく待ち合わせする深川のお不動様よりずっと規模は小さい⚪⚪不動にお参りしたらAの顔色がみるみる戻りました。やっとAが口を開きました。
「凄ーくやられてしまったわ。死ぬかと思ったわ。黒い臭い汚水みたいな津波みたいなのが寺の門の中からザブンと出てきたわ。首から頭から肩から激痛だったわよ」
女子三人、その内二人はオバケ見えるって結構ヤバイかも。私は見えないけど。
「私はわからないけど、私にはオバケの害はないの?」ってBに訊いたらBはニッコリ笑ってこう言いました。
「アンタはこの世に生まれたときからもの凄く強く護られてるから一生オバケは出ないよ。」
「じゃあAちゃん、Bちゃんは?」
するとAが
「私のはアトピーみたいなもんだよ。怖い?」
「見えないから怖くないけど、大変そうね。Bちゃんはどうして見えても平気なの?」
「慣れた」

「慣れるんだぁ。よくわかんないなぁ。まぁ、問題解決したなら飲みに行こう!」
⚫光院からなるべく遠い道をタクシーの運転手さんにお願いして飲みに行きました。
⚫光院近くからお不動様へ走ってもらい、待機してくださったタクシーの運転手さん、きっと気持ち悪かったのでしょう。殆ど喋りませんでした。