当時、電車で通勤するはめになった。二駅ほどの距離。
帰りは7時くらいになる訳で、そんな遅い時間でもない。
その日も列車から降り、通路を通って改札に向かった。
で、改札に向かう途中に、反対のホームが見えるんだが、線路とホームのコンクリの引っ込んだとこに何かいる。
人が膝を抱え座りこんでる感じ…。
服装がなんつーか、戦争の時にきてた国民服?みたいの…。
ありゃ~と思ったけど、気づかんふりして改札までいった。

で、俺が当時すんでたアパートは、駅の裏で歩いて10分程のとこ。
駅からは地下道(といっていても長さ50mもない)を抜ける。
当然、その日も地下道に入った。


…おかしいんだ。人がいない。
時間はまだ7時位。駅前も電車通の学生でいっぱいだった。 
なのに、ここには俺しかいない…いや、いる。
あれがしゃがんでた。同じ格好で。
大丈夫…大丈夫だ。気づかんふりして通れば。
俺は歩いていった。

そいつの横を抜け…よし、いける。このままやり過ごせる。
そう思った瞬間、グイッ。俺の手首に重みがかかった。
見ちゃったよ。服もぼろぼろで顔も判別できない。
俺は必死で手を振り解いて地下道を走った。

外に出ると今までが嘘みたいに、駅裏のバス停はバス待ちの学生で一杯だった。

この駅は戦時中に爆撃があって、かなりの人が亡くなったとこなんだが、
後から調べると、まさにその日だった。

余談になるが、この頃に俺はネコを6匹飼ってて、毎日駅まで送り迎えしてくれた。
考えてみると、この日だけは迎えにこなかった。
この日を境に、事故にあったり戻ってこなかったりで、全員いなくなったよ。

東北の地方の話です。