小学3、4年生くらいの頃の話です。

「百物語をやろう」と、誰かが言ったのがきっかけでした。
とはいっても、1人で何十個も怖い話を知ってるわけもなく、10名が1人10個ずつ話す事になった訳です。
私も必死で怖い話を覚えて参加したんです。

まあ100個と言っても、似たような(ほぼ同じ)話もちらほら。
ローソクも2、30本ずつ立てて、残り少なくなったらまた火をつける。
体育倉庫に忍び込んでやってたんで、すごく狭かったんですよね。
私も話し終わり、70話、80話と、どんどん進んでいったんです。
放課後から始めたので、すでに日は落ちかけてます。

そして、最後の人が100話目を話し終え、ローソクを消す・・・
数秒の沈黙が恐怖をかきたてたのだけど、何も起きず。
誰かが「なんだよ、やっぱなんにもおきねーじゃん」と。
私もちょっとだけ期待してたんですが、まあこんなもんかとね。
大体、同じ話とか、ローソクをいっぺんに立てないとか、ダメな要素満点だったし。
でも、それまでのなんともいえない緊張感ってのが楽しかったので、
それなりに満足して、みんなして体育倉庫を後にしていく。

最後に私が体育倉庫のドアを閉めて振り向き、なんとなく人数を数えたんですよ。
1、2、3・・・7、8・・・9・・・??9人?
みんな歩いていたし、最初は数え間違えだと思ったんです。
みんなを呼び止めました。

「ちょっと!!」
あまりにデカイ声だったのでしょう。みんな私のほうを振り向いて、歩みを止めました。
私は無言のまま、もう一度人数を数えました。
・・・やはり9人しかいない。おかしい。
「なあ、誰か先に帰った?」
先頭のほうを歩いてた奴が答えた。
「いや、誰も帰ってないと思うぞ。どしたん?」

私は正直、訳が分かりませんでした。
1人足りなかったんじゃないんです。
問題は、1人足りないと思われる人が、誰か分からないんです。

私は答えました。
「え?だって、10人でやってたでしょ?いま・・・9人だよ・・・?」
みんな人数を数え始めました。
そして、みんなの顔色が、目に見えて変わっていったのが分かりました。
そして、私と同じ疑問を口にしていました。
「なあ・・・誰がいなくなった?」
そうです。確かに1人居なくなったのに、それが誰だか思い出すことが出来ないのです。その場の全員が。

誰かが言いました。
「今日は遅いから帰ろう・・・」
みんな無言で帰っていきました。

次の日からクラスには、誰もいない席が一つ出来ました。
誰かいたような気はするが、先生も含め誰も思い出せません。
名簿にも載っていませんでした。
1人の人間が消えたという事実が、あったかどうかすらあやふやになってしまいました。 


それから10年以上たちます。
今では百物語をやった事すら、記憶から消えようとしています。
でも、たしかに最初はいたのです。
誰も覚えてません。これからも思い出すことはないでしょう・・・
永遠に消えた、クラスメートの存在を・・・