投稿者: 美波子


私は結婚するまで保育士してました。その頃の話。

スゴく仕事のできる先輩がいました。ケイコ先生。
多少男性的な元気なベテランの先生でした。
情緒不安定な子、家庭的に問題を抱えた子、粗暴な子、兎に角、私達若い保育士が手を焼く子は皆、ケイコ先生に任せていました。園長先生も信頼する頼りになるケイコ先生は園にはなくてはならない名物先生。しかし、非正規雇用の保育士でした。

病院の院内保育所のため、特別な事情で入園するお子様は別として病院関係者の子供達なので、モンスターPなんてのはいません。
大抵の保育園よりは遙かに楽な仕事でした。

問題は「特別な事情」の場合。
小児科からの依頼で「一時預かり」対応のお子様は大変。
心臓手術を受けた赤ちゃん、頭部打撲などで脳内に血腫があるお子様、人工肛門のお子様…本来なら園長先生か正規職員があたるべきなのですが、それもケイコ先生に丸投げしていました。

嫌な顔ひとつせずにケイコ先生は働いていました。
泊まりの仕事以外は、すべて彼女に頼り切りでした。

でも、小児科からの依頼でケイコ先生が担当したお子様は
、とっても早く回復して一般の保育園に入れるようになり、すぐに卒園して行くのです。私は「愛のチカラだわ~」って感動していたんです。

そんな中、泊まり込みの仕事の時、不思議なものを見たのです。勿論、病院内なので、怖いのですが、仕事上やむな
し。持ち回りで夜勤があります。

 保護者が夜勤のお子様二人と添い寝していた時でした。
夜中、三時ごろになんとも言えない違和感を覚えて起きました。
誰かが寝ている子供達の傍らに座っています。そのシルエットは相方の保育士ではないのです。(もう一人の夜勤の保育士は肥満体なので)
お子様達の親御さんは勤務中。しかし、なにか事情があってきたのか?

シルエットの人物は子供達の頭を撫でています。
廊下からの逆光で顔が確認できませんが、白衣ではありません。ナースさんの制服でもないのです。

寝ている子の一人の顔に、その人が顔を近付けた時、黒いモヤモヤしたものが子供の口から出また。髪の毛とも違う、煙みたいな?なにか。
その人、それを指先に絡めて食べたんです。

パクリ。
そして、「ウェッ」って聞こえたんです。

その「ウェッ」で私はビクッと動いてしまいました。
そしたら、居ないんです。
その一瞬でいなくなりました。保育室には相方の保育士と二人の子供と私だけ。

ドアを確認しましたが、ロックかかってました。
玄関脇の防犯カメラの四つ割り画面見ても廊下も無人。

でも、「ウェッ」の声、ケイコ先生でした。四年間一緒に働いていますから、間違いなく彼女でした。

寝ぼけてると言われてしまうかもしれませんが、私はシッカリと覚醒していました。

あれは、なんだったのか?
子供には特に何も変化無く、寧ろやたら元気にスクスク育って卒園していきました。
寿退職後も園には遊びにいきます。ケイコ先生は相変わらずパワフルに働いています。