俺の部屋で起きた話をします。俺にとっては死ぬほど洒落にならなかった。 

まず、位置関係を説明しときたいんだが、
俺の家の向かいには家が、その右側に道路を挟んで田んぼがあるんだ。
それで、俺の部屋は二階なんだが、部屋の窓から田んぼ(六反ほどある)が見えるわけだ。 
(窓は引き戸タイプの二メートルくらいあるやつで、虫が入らない網戸も付いてるやつ。
 そして、窓のすぐ側にベッドがあって、窓を開けるとベランダがある)

今から半月ほど前の話。
俺の部屋はただでさえ風通しが悪いのに、その日はいつもより暑かったものだから、
窓を半分くらい開けてパソコンをやっていた。 
深夜一時くらいになったんで、そろそろ寝ようと思って窓を閉めようとして、何気なく田んぼの方を見た時、
田んぼを挟んだ道路に、誰かが立ってるのが見えた。 
俺の部屋からだと、その人影の顔や服装は分からなかったんだけど、
何となく、大きさや肩幅から、男なんじゃないかなと思った。 
その人影は、田んぼの方を眺めてるようだった。
こんな時間に何やってんだ、煙草でも吸ってんのかな?
とか思いながら、何となくその人影を眺めてたんだけど、
そうしたら、その人影の頭の部分がこっちを向いたんだ。 
こっちを見てるかは分からなかったんだけど、
俺の部屋は電気が付いてて、今カーテンを半分開けてる状態だから、
当然、向こうから見たら、部屋の明かりで俺のシルエットが見えるんだよね。
だから、その人影がこっちを向いた瞬間、
あっ、見てるの気付かれたかな、と思った。 
こういう瞬間って気まずいから、すばやく窓閉めてカーテンも引いたんだけど、
その時も人影は、こっちを見てるようだった。 
深夜という事もあって俺も気味がわるかったんで、早く寝ようと思って電気を消してベッドに入った。 


さっさと眠ろうとしたんだが、その日はさっき書いた通り暑かったもんだから寝苦しくて、
30分くらいたった時に、少しでも風を入れようと思ってベッドを降りた。
窓はベッドのすぐ側にあるから、電気を点けなかったんだけど、 
窓を開ける時、さっき見た人影の事がちょっと気になった。 
だけど30分も経ってるし、もし居たとしても電気付けてないから大丈夫だろう、と思って窓を開けた。 
で、道路の方を見たんだけど、人影はなくなってたんでホッとして、座って少し涼む事にした。

しばらくボーッとしてたんだけど、体も大分涼しくなったし、ベッドに戻ろうとして立った時に、
田んぼの真ん中にまた人影が見えたんだ。 
田んぼの真ん中といっても、田んぼのど真ん中にじゃなくて、(田んぼにはもう水が入ってる)
田んぼと田んぼを分ける農夫さんが歩くような、一メートルもない道の上の事ね。 
そこになんか人らしき影がいるんだけど、
さっきよりも遠いし、しゃがんでるようだったから、さっきの影かも分からなかった。 
でも何となく、さっきの影なんじゃないかなと思った。(勝手な推測だけど)
さっきの時と違って、こんな深夜に田んぼの真ん中で、明かりもなしに居るなんておかしいと思って、
怖くなったのね。(農夫さんだとしても、懐中電灯くらいはつけてると思う)
窓をすぐ閉めようかと思ったんだけど、怖いもの見たさってのあって、ちょっと見る事にした。 

最初は怖かったけど、次第にその気持ちも慣れてきて、案外普通に見てたんだけど、
どうもその影は、しゃがんで何かしてるようなんだよね。 
何をやってるかは見えないんだけど、動いてるのは分かった。 
(ここから分かるくらいだから、けっこう大きな動きをしてたかもしんない)
結局、見てても何も分からないし、もう本当に眠たくなってきたから、カーテン引いて窓をしめて眠る事にした。 

ベッドに入って眠りについて、どれくらいたったか分からない時にふと目が覚めた。 
携帯を見ると、午前3時40分くらいだったと思う。(だから寝てから、約一時間くらい経ってるのかな)
で、何で目が覚めたんだろうと思ってたら、どこからか「トントン」って音が聞えた。 


あぁ、この音のせいで目が覚めたんだな、と思ったんだけど、
その時は、その音の出所がどこかは分からなかったんだ。 
最初、家族の誰かが一階で歩いてる音なのかなと思ったんだが、
こんな深夜に家族が歩いてるってのも考えられないし、 
それに歩いてる音じゃないよなと思ってたら、また「トントン」って音が聞えた。 
その時にこれは、誰かがノックをしてる音じゃないかと思って、部屋のドアまで歩いていこうとしたんだ。 
こんな時間に部屋をノックしてるってのもオカシイんだけど、
その時は目が覚めてすぐだったし、何の疑問ももっていなかった。 

で、ドアに近づこうとした時に、また「トントン」って聞えたんだけど、
その時にようやく、それがドアからじゃなく、後ろの窓から叩かれてる事に気付いたんだ。 
それに気付いた時、俺の頭は思考停止状態になったよ。
だって、俺の部屋は二階にあるわけだし、窓からノックってありえないシチュエーションだろ。
(ドラマとかだとこういう場合、遊び友達がいるんだろうけど、俺の友達にはそういうタイプはいないし、
 それに俺に部屋の場合、地上から建物の構造上、上がってくるのはまずない)

しばらく思考停止状態が続いたんだけど、それでも段々と意識が戻ってきた。 
だけど意識が戻ってくるのと同時に、怖くなったしパニックにもなった。 
カーテンが閉まってるから、誰が叩いてるか分からない。 
何だろう、泥棒だろうか?でも泥棒なら自分の居場所知らせたりしないし、なら強盗だろうか?
そのままドアを開けたら、強盗が押し入るかも知れない。でも、それでも変だよなぁ…
そう考えてると「ドンドン!!」って、いきなりノックの音が強くなった。 

ノックというよりはグーで叩いてるような感じ。それも凄いデカイの、窓が揺れてたし。 
急に音がでかくなったから、俺もまた固まっちゃたんだけど、おかげで意識ははっきりしてきた。 
これは、流石にどうにかしないと色々ヤバイと思って、
(近所迷惑だし、窓が壊れるかもしれない。怖かったけど、それよりも現実的な事を考えてた)
結局、カーテンを開けることにしたんだ。(この時、なぜか家族には知らせようとは思わなかった)
護身用に部屋にあったバッドを持って、次のノックと同時にカーテンを開けようと思って、窓に近づいていったよ。
で、「ドンドン!!」ってなったんで、カーテンを思いっきり開けて見てみたんだよ。 
そしたら誰も居ない。
俺がカーテンを開けたから、どっかに潜んだのかなと思ったんだけど、
ノックの音がしてからすぐ開けたし、それにこのベランダに隠れるような場所なんてないはず。 
もしかしたら屋根に上に居るのかと思って、バッドを持って屋根の方を見たけど、そこにも誰も居なかった。 

結局、ベランダには誰も居なかったんだ。
何だったんだ…と思って、田んぼの方を見たんだけど、さっきの人影も消えていた。 


結局、この話はこれで終わりです。
人影とノックの音が関係あるのかも分からないけど、その日に起きた不思議な事を書いてみました。
ちなみにこれも関係ないかも知れないけど、次の朝、ウチの庭でノラ猫が死んでました。