投稿者: たま


少し前、手術の必要があり入院をしました。
手術が済んで、特別痛いこともなくて、なんだか安心して、
前日までの緊張からも解かれていて
気持ちよく眠りに落ちる境目の、
少しだけ意識のあるタイミングでのことです。

私の入院した病院は地域で1番大きな病院で、
大きなクローバーの四つ葉みたいな形をしていて、
クローバーの四っ目の葉の位置にエレベーターがあるとすると
残りの葉の出っ張りに6人部屋2つある位置関係で
ナースステーションが中央にある形をしていて、
全体的には丸い建物でした。
私は手術をしたばかりだったので、エレベーターからすぐの
1つだけあるようでしたが個室で、個室の隣は談話室だったと思います。
ナースステーションの向かい側の部屋でした。
痛みもなく、同室に誰もいなかったので、部屋の照明を
間接照明みたいにして、リラックスしていたのを憶えています。
消灯時間も過ぎて、周りも静かで室内は適温で、
目を閉じていても間接照明の光量くらいが残っているので、
部屋の中がちょうどいい明るさでした。
このまま眠ってしまおうとしていると、
部屋の外の廊下の先から人が走ってくる足音が聞こえてきました。
足音は一人分のものでしたので、
急患の受け入れに看護師さんがエレベーターへ向かって
走っているのかなと思っていたんです。
ドップラー効果…ていうんだよね、こういうのなんて思いながら
だんだん近づいてくる足音が
私の部屋の前に来ると1番大きく聞こえる訳ですが
ここから音が遠ざかるはずの瞬間、
私の部屋の引き戸がいい勢いで開きました。
あれ、ナースコールとか手が当たっちゃった?
いや触ってない。両手、脇にあるしね?
なんだかすごく見られてるみたいだけど、
大丈夫、私、急変とかしていません~
あ、点滴確認してくれてるのかな、
ありがとうございます~このまま寝ちゃいますね~
と、心の中で言いながら寝ちゃおうとします。
しかし、なんだか長居じゃないですか?
部屋の入り口、ベットの左手側に
まだまだいてくれるその看護師さんが
間接照明の光に照らされているはずなのに、
真っ黒な人影にしか見えなくて、
あれぇ?逆光じゃないのに?真っ黒?

朝になり、昨夜のことがなんだか気になっていましたが
次の瞬間、
あれは看護師さんじゃないと分かってしまいました。
点滴をしていたのは右手側だったのです。
左側で私をのぞき込む形の人影は、
点滴を確認してくれたわけではなさそうです。
さらに、扉を開けて廊下へ出てみるとクローバー型の病院では
昨夜聞いた長い廊下を走ってくるような足音が続くような
そんな長さの廊下がありません。

あの世とは遠くにあるのでしょう。
聞こえないくらい先から走ってくるだけの距離が。