投稿者:やじろべえ


私の実家はI県の湖と山に囲まれた田舎です。
田舎とはいえ、例えば都会の人が聞いたらゾッとするような風習やホラーめいた奇祭みたいな、創作の中の閉鎖的な田舎の集落みたいな場所ではなく、コンビニもスーパーもTSUTAYAもユニクロもマックもあるし、個人的には住みやすい所です。
もちろん都会の人からしたらど田舎なんでしょうけど。

ただ、そんな所でも禁足地と言われる所がありました。
大人たちが、あそこには近づくなと口酸っぱく言う場所です。学校でも夏休み前とかになると先生達から、危険なので立ち入らないようにと注意されます。

中には、呪われるとか祟られるとか言って脅かしてくる大人もいましたが、ある程度の年齢になると、単に溜池があって危ないってだけで、呪いや祟りなんて無いってとはわかってて、大人の目を盗んでこっそり侵入してました。

ある夏の夕方です。
友達数人と、その禁足地と言われる場所に遊びに行きました。禁足地なんて言われると余計に行きたくなるんです。何も無い所なのに。

そこは、町を見渡せる小高い丘の上の公園の奥にある神社の裏手にあります。
神社の裏手は鬱蒼とした藪なんですけど、少し入ると開けてて、そこに溜池があります。
一応柵で囲われてるんですけど老朽化してて頼りない柵でした。
まあ、溜池ですることもないのでわざわざ近づかないんですが。。

溜池をぐるっと回り込むと反対側には小屋?があります。
溜池の管理をするための何かが入った小屋なんだろうなと思っていました。

慣れた場所とはいえ流石に夕方になると不気味な場所になってくるのでいつもは3時ごろにはそこを出て公園で遊んで帰るっていうパターンだったんですが、当時買ってもらったばかりのエアガンに夢中になっててサバゲーみたいなのをしてるうちに薄暗くなってしまいました。

いくらなんでももう帰ろうと言うことになり、小屋の横を通って溜池を回って神社の方へ。。。

その時、目線の端の小屋の陰に何かいたのに気が付いたんです。一瞬立ち止まって小屋の方を見ると何もいません。
気のせいと思って小屋を通り過ぎて、池の真ん中ぐらいに来た所で振り返って小屋の方を見たら、白い人影のようなものが(夕方で薄暗く、ぼんやりとしか見えませんでした。)、小屋の横にしゃがんでるように見えました。

それが、こっちを見てるようなんです。
明らかに。ぼんやりと、何となくしか見えないんですけど、確実にそれはいて、こっちを見てしゃがんでる。
そしてその影がゆっくり立ち上がろうとしたんです。

本能的にやばい!って思って、友達を置いてダッシュで公園まで逃げました。
友達に説明してる間なんて無い!と思ったんです。

慌てて追ってきた友達に説明したところで笑われるだけでした。山にはサギとかもいるので、サギが飛び立とうとして体を起こしただけだとか。。。
あんな大きなサギあるわけないし、人とサギを見間違えるわけ無いです。人かどうかはわかりませんが。

でも今でもはっきり脳に焼き付いてるんです。
逢魔ケ刻の何もかもの色が薄くなっていく時間帯、全てがぼんやりぼやけていく中でも、何故かあれがじっとこちらを見てるのはわかったし。
しゃがんでるのも、立ち上がろうとするのもわかりました。
そのまま見続けてたらどうなってたのか?
公園まで走り抜けた私達を追ってきてたのか、それとも私達の背中をじっと見てたのか。

それ以来あそこには昼間でも近づかなくなりました。

親にあの小屋のことを聞くと、あれは溜池とも神社とも関係なく、あそこにはかなり昔、まだ集落単位で土葬形式で埋葬が行われていた時代に遺体を運ぶための棺桶が入っていたらしいです。

それとあの人影が関係あるのかはわかりませんが、もしかしたら。。。と思い、ゾッとしました。