投稿者:ふとめのオバ


人によってはあまり怖くない話です。

高校1年の12月、同級生が家族4人と痛ましい事故で亡くなりました。
当時は地方紙ですが、新聞にも載りました。
同級生は、5人家族で唯一残ったのは母親だけ。車で隣町の母方の祖父の葬儀を終えての帰路であったそうです。

友達数人と放課後に焼香に向かいました。楽しかった思い出を語りあいながら。
4つ並んだ棺は、今思い出しても苦しいほど悲しいものでした。

その夜です。私の家は昔の日本家屋そのままの、襖で仕切られただけのお座敷がある家で、高校生でありながら、机とひと竿のタンス以外は個人の部屋もなかったので、祖父と共に8畳の座敷に寝ていました。
夜半過ぎ、「おーい、おーい」としきりに呼ばれる声でぼんやりと意識がはっきりし、
頭だけ動かして声のする方を見ようとすると、突然「キーーーーン」とかなり大きな耳鳴りのような音がして、同時に金縛りになりました。
それでも呼ぶ声はなり続けます。
とっさに「目を開けちゃダメだ」と強く意識して、金縛りにあいながら目を閉じると。
広い真っ白な霧の中にいるような状態に。

「おーい、おーい」と呼ばれる声は強くなり、気がつくと体育館のようなところで、自分は白とも金色とも言えない光輝く球を持ち、まるでバスケットボールのパスを渡せと言わんばかりに声は激しく響きました。
その声の主の姿を認識したとたん、霧もいきなり消えました。
「○○ちゃん!?」

事故で亡くなったのではなく、今も生きている全く別の友達でした
その彼女が、バスケ部のユニフォームを着てコートを走りながら私の球を寄越せと走り寄って来たのです。

「嫌だ、コレはあたしの!
パスなんかできない」

そう強く声に出したつもりで叫ぶと、突然耳鳴りも呼ぶ声も、金縛りさえも消えました。
目を開けて、障子の向こうの外を見ようとすると白く光る尾を引く浮遊体が外に飛んでいくところでした。

体中、びっしょりと汗をかいていました。

なぜ当時も今も、生きている彼女が私をあんなに呼んだのか。
その時も今も、それだけが謎です。