投稿者:唯


友達の女の子に聞いた話。
投稿は了解済みです。


その女の子(以下Aとします)はロシアと日本のクオーターで、母親がハーフ、祖母がロシア人、祖父が日本人です。

祖母と祖父はロシアで暮らしていてこれはAが高校の時に1人で祖母と祖父に会いに行った時の話です。
高校生が1人で海外に行くなんて凄いなと思ったのですがAは中学生の頃にも1人でロシアに行ったことがあるらしく、挨拶程度のロシア語も話せ、飛行機に乗るのもお手の物でした。

飛行機の機内。

指定されたシートに座ってどんどん小さくなって行く日本列島を眺めていると、ある事に気がつきました。

自分の横にある窓の左上の角に白い布の様な物がありました。

窓の外側です。

機内なのでもちろん音は聞こえませんがバタバタバタバタと、風で揺れていたそうです。

何だろうと思い、窓に顔を付けて上を覗いては見たもののあまりよく見えず整備の時に使った雑巾か何かがくっ付いているのかな?これが原因で墜落したらどうしよう…

と段々不安になってきました。

隣のシートは空席だったようで、隣の隣に座っていた日本人に

すみません。コレ、なんでしょうね?

と指をさして訪ねてみたのですが

え?何かありましたか?鳥か何かじゃ無いですか?

と、言われたそうです。

あまりにもハッキリと言われたのでこれが普通なのかな?それとも見えていないのかな?と、思いあまり気にしないようにしていたそうです。


それから音楽を聴いたり、雑誌を読んだりしていましたが気にしないようにしようと思っても、そのバタバタは視界の隅に常に入り込んでAの不安を煽ってきました。

その布は飛行機が無事に着陸するまでずっと窓の隅で揺れていたそうです。

飛行機から降りた後、自分が座っていた辺りの窓を外側から確認しようと見に行ったのですが、その時にはもう無かったそうです。

少々腑に落ちない気分になりましたが、とりあえず無事に着陸出来た訳だしまあいいか。と、祖父母の元へ向かいました。

家に着くと巨漢な祖父母が満面の笑みで出迎え、親戚なども集まり、盛大な歓迎パーティ。

ロシアの方達はお酒に強いらしく、飲み比べやダンスが始まりそれはもうドンチャン騒ぎだったそうです。

そんな楽しそうな祖父母達を見てああ、来て良かったなと思いながらふと窓に目をやるとカーテンとカーテンの隙間から白い物が見えました。

窓の上の部分の外側。

またヒラヒラと布の様な物が揺れていました。

家のカーテンは深緑色なのでやけに目立っていた様です。

最初はただ、あの白いのはなんだろう?と思ったAでしたがジッと見つめて、それが布だと分かると機内での事を思い出して咄嗟に祖母の腕にしがみつきました。

祖母はびっくりして片言の日本語で

A~?どうしたの?

と、聞いてきました。

Aは窓のソレを指さして

おばあちゃん…アレ…あの白いやつ、何??

と、聞いたのですが祖母には何故か見えていない様できっとAは疲れているんだよ。今日は早く寝なさい。2階の部屋を使っていいからね。と、言われ渋々二階の部屋に上がったそうです。

ベッドに横になってはみたものの、住み慣れない土地に使い慣れないベッド、そしてアレ。

心臓がドキドキしてしまって眠れそうにも無い。

一階ではまだドンチャン騒ぎが行われていて騒がしいけど、その音がかえってAの不安な気持ちをかき消してくれたそうです。

でも、本当の恐怖はここからでした。


その音を聴きながら目を瞑り、横になっていると突然その音がピタッと止みました。

???
宴会が終わったのかな?

それにしても何一つ物音が聞こえません。

話し声も風の音さえも

シーンという音だけが響き、次第に耳鳴りがしてきました。

その時です

コンコン、コン コン コン

何かが壁か窓?を叩く音。

Aはドキッとして音のする方を見ました。

そこは絵本に出てくるような十字の木枠の窓。

閉めたはずのカーテンが何故か全開で、窓の右下に白い物。

Aは何故か咄嗟にヤバい!!と思ったけど金縛りなのか、身体が動かず、目を瞑ることさえ出来なかったそうです。

その白い物は今までのヒラヒラした布とは違い球体の様でした。

一部分しか見えないけどまん丸の球体だとしたら直径60センチくらい。

少しづつ徐々に徐々に上に上がってくる。

見ちゃダメだ!見ちゃダメだ!

Aは何故かそう思ったらしく必死で視線を逸らそうとするけど 、目が離せない。

お母さん!助けて!

Aの呼吸が乱れる。

球体はゆっくり上がってくる。

真っ白い丸に黒い物が見えた。

人間の…目…?!

Aはソレと目が合ってしまいました。

更に球体はそっとあがってくる。

口紅を塗った様な真っ赤な口。

白い布地の球体に人間の目と口がある。

Aは絶叫しそうになりましたが声が出ません。

苦しい。

目も…反らせない。

過呼吸になりそうな息苦しさの中、Aはソレと見つめあっていました。

暫くすると真っ赤な口の両端がニヤッと上がり話出したそうです。

ア…ア… アアァア…エ…

??!

ア…カンチャー…エ…

アカンチャーニエ!!!!

ソレは目をカッと開き、そう叫びました。

赤ちゃんのような、小さい子供の声だったそうです。

そして球体はまたゆっくりと上昇します。

球体の下にはヒラヒラと揺れる白い布。

ここでAは遂に意識を失いました。


気がつくと目の前に心配そうな顔をした祖母がいました。

どうやらAは部屋の床に倒れていたらしく、夜中に様子を見に来た祖母に発見された様です。

ベッドに入った時から2時間くらい経っていた様で、時刻は午前2時。

窓のカーテンは閉っていました。

Aは祖母に訪ねました。

おばあちゃん…てるてる坊主って知ってる…?さっき窓に大きいてるてる坊主が…。

祖母はてるてる坊主を知らないらしく、首をかしげました。

Aはこの時思い出しました。

この旅行の1週間前雨が降らない様にと、てるてる坊主を作ったことを。

そして旅行の前日、天気予報で降水確率が0パーセントだと知り、ソレをグシャグシャにしてゴミ箱に捨てたことを。

まさか、アレが日本からここまで着いて来た?

あの…おばあちゃん、アカンチャーニエって知ってる??

祖母にそう訪ねるとアカンチャーニエとはロシア語で終わりと言う意味のある言葉だと教えてくれました。

帰国後Aは辞典でその言葉を調べたらしいのですが、アカンチャーニエと言う言葉には用無しと言う意味もあったらしく自分が捨ててしまったてるてる坊主がもう用無しなのか?!と怒って着いて来たのでは無いかと言っていました。

そしてソレに付いていた人間の目が、自分の目にそっくりだったと。

ティッシュで作ったてるてる坊主なのに何故あんなに巨大だったのか日本で作ったのに何故ロシア語を話したのかも不明。

家のゴミ箱には捨てたてるてる坊主がまだあったらしく人形の供養ができるお寺に持って行ったそうです。

それ以来特に変わったことはないようなのですが未だにアレに怯えているA。

また何か聞けたら書き込みたいと思います。