投稿者:ムーミンパパ


数年前の話。

娘が絵本に興味を示し始めたので仕事帰りに近所の古本屋に寄った。

まだ娘は文字が読めないので絵が中心の本を中身をパラパラと確認して4冊ほど選んで購入してきた。

娘は買ってきた絵本を気に入ってくれたらしく家にいる時はほとんど絵本に夢中になっていたらしい。

ある日、仕事が遅くなり深夜に帰宅すると奥さんが難しい顔をしながら相談してきた。
「娘の様子が少しおかしい」
仕事で疲れていた事もあり気のせいだろうとその時はあまり親身に聞いてやれなかった。

それからまた数日たったある夜、早めに帰宅し久しぶりに娘と一緒に風呂でもと思っていた。

玄関を開けて「ただいまー」っと言い終わる前に奥さんが困ったような、怒ってるような顔をしてリビングから走って迎えてきた。
「あの絵本一体どこで買ってきたの!?」

帰って来て早々に意味が全くわからず
(なんだよ…)と思いながらリビングに向かい娘の姿を探した。
奥さんが後ろから「子供部屋見てっ」と言うので隣の子供部屋を覗いてみると…
薄暗い部屋の隅で娘はスタンドの淡い光に照らされながらこちらに背を向けたまま絵本を読んでいた。

一瞬ビックリしたものの、こんな薄暗い所で絵本を読ませている奥さんに少しイラッとしながら後ろから娘に近づいた。

「◯◯、こんな暗い所で絵本見てたらおメメ悪くなる…」
っといいかけて言葉が詰まった。

スタンドの淡いオレンジ色の灯りに照らされ絵本を開き女の子座りした状態で娘は前後に揺れていた。

絵本を開いてはいたが娘の顔はなぜか絵本を見ず正面の壁の隅を向いて揺れて続けていた。

自分の娘ながらその異様な雰囲気に恐怖を感じた。
なぜか娘の顔を正面から覗く勇気が出なかった、見てはいけない気がした。

少しためらいつつも、なぜかこの絵本から遠ざけなければと思い後ろから

「◯◯っ!!」と抱き寄せた。

一瞬、娘の横顔が苦しそうな年配の男の顔に見えドキッとしたが娘が後ろを振り向き自分の顔をみるやいつもの笑顔で
「パパ~」
としがみついてきた。

少し落ち着いた後、娘と風呂に入った。

あの絵本の事を怖がらせないようにそれとなく聞いてみたがとりとめのない答えしか返ってこなく、娘自身も何があったか分かっていないようだった。

娘を寝かし付け奥さんに話を聞くと
「あなたに相談したかったけど聞いてくれなかったし、私も怖くてどうしたらいいかわからなくて…」
と娘の変化を話してくれた。

娘は自分が買ってきた絵本の一冊に執着を示しその本を見だすと奥さんが絵本を取り上げるまで外が暗くなろうがずっと見つめていたそうだ。

それはどんどんエスカレートしその本をずっと眺めながら何かブツブツ小声で喋っている時もあったらしい。

せっかく自分が買ってきたので捨てるまではしなかったが奥さんも怖くなりその絵本を本棚の上に隠していたがどうやってか見つけ出して気づくと部屋の隅でその絵本を眺めていた。

それを聞いて気味が悪くなりすぐ古本屋で買ってきた絵本を全て捨ててしまいかわりに新品の絵本を買い与えた。

怒るかと思ったが娘は全く気にせず新しい絵本を喜んでくれた。

やっぱり古い物には何かしらの念と言うものが籠ってしまうのだろうか。
子供はそうゆうのに敏感だと言うし…

そして奥さんから古本屋禁止条例を出された。