投稿者:もえ


続きです。

私は弟にトイレのドアが開かないから開けてほしいとだけ言って、渋る弟をつれてトイレに戻りました。
相変わらず電気はついたままで、鍵は開いているという表示になっていました。
両手でドアノブをつかみ、先ほどの様に全力で引っ張って見せました。
「ほら…ね?開かないんよ。」
何度も何度も、うんうん言いながら引っ張っているのを見て、私がからかっていないとわかったようでした。
さっきの手が頭をかすめ、ふとドアノブから手を離しました。
「わかったから!…やってみる。」
そう言って、弟がドアノブに手をかけました。
私が今まで奮闘していたのとは明らかに違って、すんなりとドアが下りて、普通にドアが開きました。
中には誰も居ませんでした。
「大げさに演技して…何がしたかったの?」
と呆れ顔で弟が言って、
「ま、いいや、ついでに入っとく。」
と言ってトイレに入って行きました。
私は呆然として、外に立っていました。
中から用を足す音が聞こえていました。
そして、水が流された音がして、ドアノブが下がったときでした。
「…あれ?」
ドアノブがカチャカチャと音を立てて上下するものの、弟が出てきません。
「何してんの」
と声をかけるのと同時に
「そっちこそ何してんの?まだふざけてんの?」
と返されました。
弟は、私が外から押さえてると思ったようでした。
「なんもしてないよ?」
「…えっ?」
……。
少し間があいたあと、私はとっさにドアノブをつかみ、全力で引っ張りました。
開くどころか、ノブが全く下がらずびくともしません。
「…開かない」
「えっ、まじで?」
カチャカチャと、ノブが上下するものの、ドアはあきませんでした。
そのうち、ドン、ドン、と中でドアにタックルする音が聞こえてきました。
「こっちからも引っ張ってみるよ」
そう言って、タイミングを合わせて、弟は全力でドアを押し、私は全力で引きました。
それを何回か繰り返してみましたが、びくともしません。
私は弟をなだめると、親を起こしに行きました。

親といっしょにトイレに戻ると、親はすぐに弟を呼びました。
「○○いるん?」
「いる、開かねー」
そう言って、タックルする音と、ドアノブが上下するのが見えました。
私も全力で引っ張って見せました。
全くびくともしません。
少し焦った顔で、親がドアノブを握りました。

結果、ドアはすんなりと開きました。
「あんたら、夜中に何がしたいの?」
親はそう言って、半ギレでさっさと寝室に戻っていきました。
私たち姉弟は、ただぽかんとして、戻っていく親を見送ると、部屋に逃げるように戻りました。

部屋に戻ってから、急に尿意も帰ってきましたが、私は怖くてドアを半開きで用を足しました……
それ以来10年あまり、私たち姉弟はそのトイレを使わず、もうひとつある別のトイレを使っています。

弟は閉じ込められたとき、何も見なかったと言っています。
一体あの腕の主は、どこに行ったのか、そもそも誰だったのか、今もまだ、家のトイレにいるのか、なんとも不思議で、少し怖いです。



長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
ずっと周りに言えなかったので、吐き出す場をお借りできてよかったです。
失礼いたしました。