この地方は、昔は今などと比べものにならないほど、貧困がもっと酷かった。
当然のように子の間引きがされ、酷いときは妊婦ごと、というのもあったのかもしれない。
あの晩兄貴は俺らの後をそっとつけていた。
胸騒ぎがやまなかったのだという。
俺達が神社の裏に入っていくのを見たとき、
唐突に「神輿!」と閃いたそうだ。
工場まで飛んで帰り台車を持ち出し、祭りの後は集会所に暫く飾ってある神輿を、叩き起こした友人ヤンキーと運び出した。
しかし小さいといっても神輿である。なかなか苦戦して押していると、A子の父親に偶然会った。彼もまた、胸騒ぎがしてウロウロしていたのだ。
3人で火事場の馬鹿力よろしく、気合いで神輿を神社まで押していった。
神社に着いた途端、何だか神輿が軽くなり、まるで自ら進んでいるかのようで、裏道にかかった時はもう完全に3人の手を離れ、神輿は暴走していった。
山は大人達が坊さんだかを呼んで後片付けをしてくれた。証人もいるし皆はお咎め無しだだったが俺だけゲンコをくらった。
何故かというと兄貴に礼を言うと、御堂こじ開けたのは俺だと言えと言いやがったからだ。
しかしこんなのでは感謝をしきれないと、今は思う。兄貴は、化け物はお前らが倒したし、もうこの事は忘れろと言っていた。
でも当時俺らは中学生で未熟で、危険なことをしていたのだ。俺らがやっていたのは呼び出すための儀式で、おそらく倒すためのものでは無かった。
今年の夏も、変わらず祭りは行われるだろうか。あの地方の少ない予算で神輿を作り直すのは無理かもしれない。少子化が進み、祭りは開かれないかもしれない。
都会に出て本当に、差が実感される。
だが、友達との沢山の楽しい思い出や少しの恐ろしい思い出があり、尊敬する兄貴のいる田舎に、俺はいつか必ず戻る。
投稿者:イチ
コメント
コメント一覧 (10)
四巻目に変なタイトル付けて出したのを思い出した。
あとがきで言い訳していたな。
他と大して変わらんやん
普通におもろいと思うで
批判する人もいるけど、おもしろいと思う人もいるのだから、人それぞれですよ!
完結て何やねん…。
皆に批判コメされとるやないか💨
歓迎されてない証拠。
もぉイチサン
こんなクソ小説?ここに晒さないで。
全部が詰まらん。
創作でも何でも
何ひとつ
魅力を感じひん。
コメ欄見てたら良いんだけど。
いや、そこで「かもしれない」は駄目だろう。
だったら間引きも「かもしれない」になりかねないじゃないか。
他にも変な部分が多いし。
大丈夫か?これ書いた人。