投稿者:n.t


私が大学生の頃です。

特定のサークルメンバーで海に行った日のことです。メンバーは男2人女3人で、リーダー気質のヒロが車を出してくれました。

海岸沿いのファミレスで夕飯を食べたあと、ヒロが肝試しに行こうと言い出しました。
皆は行こう行こうと乗り気でしたが、気の弱いf美は行きたくないと怯えていました。

恐がる人間がいたことで、周りのメンバーは一層盛り上がり、大丈夫だからと気休めにもならない言葉を投げかけたのち、半ば強制的に肝試しに行くこととなりました。

この時、私は嫌な予感がしました。
何故かは説明できませんが、良くないことが起きるような気がしたのです。

そのため、私は周りの空気も読まずに、そういう変な場所には行かない方が良いと発言すると、ヒロは、お前は臆病だ、男のくせに女みたいだ等と茶化したあげく、嫌ならf美と帰ればいいと言い出しました。
私は意地になってしまい、どっちが子供か今に分かると言い返し、肝試しに行くことになったのです。

肝試しの場所は、ファミレスから車で2時間もかかる山奥で、そこから更に歩いて10分ほどの場所にある廃屋でした。
ヒロが先頭に立ち、後ろに女2人、最後尾に私とf美が続きました。
廃屋はかなり大きい住宅で、敷地は草木が生い茂っているものの、相当な広さであることは分かりました。

廃屋の中を進んでいると、時々ヒロは、今何か聞こえたとか人影があった等と発言し、それに女2人が恐がって見せており、それなりに楽しんでいるように見えました。
一報で、f美はヒロが発言する度に、私の横で震えていたのが記憶に残っています。

廃屋の中を一通り侵入し、廃屋の敷地を探索していた際、突如として後方から、ばぁぁと低いうなり声のような音が聞こえたのです。

皆は瞬時にかたまりました。
ヒロも相当動揺しており、ひたすら懐中電灯で後方を照らしていたように思います。

私とf美以外が、動物の鳴き声だ、風の音だと言い合っていると、先程よりも大きい音量で、ばぁぁと声がし、明らかに何者かが後ろから追いかけてきたのです。

皆、一目散に逃げ出しました。ヒロなどはアスリート並みの速さで先頭をぶっちぎっていたと思います。
恥ずかしながら、私自身も途中までは必死になって走っていました。

暫くして、ふとf美の存在が気になったため、後ろを振り返ると誰もいません。
私はすぐに、f美がいないから皆止まれと叫びました。何回か呼び止めてようやく皆止まりましたが、ヒロは車で待ってればその内来るだろうと言い張ります。また、ブス2人も携帯で呼ぶとか車で迎えに行く等と馬鹿な発言しかしません。

当然ながら、携帯の電波は無く、車で行けるような道ではありません。
私が戻って探すと言うと、ヒロ達は本当に無理だから探してきてくれと言って聞きません。

私は、くたばれクソ野郎と言い放ち、急いで廃屋まで戻りました。

廃屋の敷地に入り、私は何度もf美の名前を呼びながら探しました。懐中電灯の電池が切れそうだったので、必死に辺りを照らしたのを覚えています。

その時、廃屋の裏の方から何かを引き摺るような音がしたため、急いで確認しに行くと、f美が地面に横たわっているのです。
同時に、f美の横に60歳前後の男が立っているのが目に入りました。
私が、お前は誰だくそったれと言うと、男は「ここは俺の敷地だ」と言います。
続けて「俺はお前らのような肝試しに来る連中が許せねぇんだよ。他人の敷地で騒ぎやがって。この前も脅かして逃げ遅れた女を犯してやったぜ。この女もそうだよ。へへっ。こんな上玉は久しぶりだぜ」と言いました。

私は理性を失い、てめぇの管理不足だろブタ野郎と、その男を殴り倒しました。
男は気を失ったので、f美を抱えて急いで車まで走りました。

幸い、f美は気を失っていただけで、犯されてはいませんでしたが、かなり憔悴しているようだったので、一番に自宅まで送らせました。

この件があってから、私はf美以外とは疎遠になりました。
平気で友人を見捨てるような、口だけの人間であることが分かったからです。
また、廃屋で会った男もしかり、結局一番怖いのは人間です。
あの時、もしf美を見つけるのが少し遅ければ、取り返しのつかないほど最悪の事態になっていたでしょう。
この日以来、私とf美はこういった場所には一切行っていません。

人間より怖いものは存在しないことを忘れないでください。