怖い話らぼ −怪談・都市伝説まとめ−

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カテゴリ:洒落怖 > 洒落怖91‐120

俺が体験してきた、本当に本当の話を書かせてもらいます。 

前に住んでた家の話なんだけど、そこはどこにでもある田舎の普通の一軒家。 
周りが親戚だらけって言う、田舎にはよくある光景な訳さ。

俺が小学生の頃に爺さんが亡くなった。小学生だからあまり覚えてはいないんだが、まぁ大往生だったらしい。 
んでね、その3年後に婆さんが亡くなった。 
この時も小学生だったから、病名や死因は覚えてない。 
ただ、母さんとかが、自宅の布団で泣きまくってたの覚えてる 


んで、その3年後に、生まれたばかりの妹が死んだ。 
妹はもう1人いて、そいつは元気。次に生まれた妹が亡くなったのね。 
何回も見舞いに行ったのと、たまに自宅に帰れる日に一緒に寝た事、
あと、火葬場で燃やす所にガガーっと妹の棺が入ってく時に、母が気絶したの覚えてる。 
この頃から、ちと母の元気がなくなったよ。 

んでね……また3年後。
父が亡くなった。これはハッキリ覚えてる。 
熱でぶっ倒れそうでもガンガン二日酔いだろうと、絶対仕事休まなかった父が、「腹痛い」って理由で休んだんだ。
次の日は仕事に出かけたんだが、早退してきたらしい。 
病院行きたがらない父を、母が涙ながらに説得して病院連れてった。

台所で母に、「父さんが、○子(死んだ妹の名前)と一緒の病気になっちゃった…」って言われた。 
俺も妹もキョトンとしてたと思う。 
病名は癌。

そこから父の入院生活が始まり、みるみる痩せていった。
父の面影がなくなった頃、息をひきとった。
死ぬ直前、本当に直前、家族に心配かけまいと満面の笑みを見せた父は、今でも俺の自慢だし、誇りだ。 
その日は家族3人で、涙枯れるまで泣いた。


父の葬儀が終わり、大分バタバタが落ち着いた。 
母は父のいる仏壇の前から全く動かなくなった。
仕事→仏壇の前→睡眠の繰り返し。
これは後で聞いた話だが、ずっとどうやって死のうか考えてたらしい。 

文章に起こすとすぐ気付くんだけど、これ、実際体験すると分からないんだ。
そう…3年ごとに死んでるんだよね、俺の家族。 
月日まで全く一緒って訳じゃない。でも綺麗に3年ごと。 

俺はそれに気付いて母に言った。
母は狂った様に、霊媒士(?)みたいな人を何人も呼んでた。 
「前世が酷い事をしてた」とか、「霊の通り道だから」とか、ありもしない事ウダウダ言ってたよ。 
結局ね、原因なんてわかんなかった。
でも、次は順番的に母か俺が…みたいな怖さがあって、引っ越す事にした。


んで、その家を空き家として人に貸す事にしたの。
もちろん、そう言った事がありましたって話はしてある。
そこに人が付いてから3年後に、そこに住み始めた家族のお父さんが亡くなった。 
さすがに気持ち悪いって事で出ていかれた。
後で聞いた話で、お払いに来た霊媒士の方が、どこかの葬儀の最中に大口開けて、そのまま亡くなったらしいです。

結局原因はわからない。
今でも家族3人は元気で暮らしてるし、その家は今でも空き家で存在してるって事。 
怖いから2度と近付かないけどね。

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昨年の大晦日、私(Y)は夫のRと妹のA美と三人で、北関東にあるRの実家に出かけた。 
夫の実家は、近県では有数の古い歴史を誇るH神社を擁する、山間の町だ。 
私達は、H神社に参拝しながら年を越そうと思った。 
ところが、山道に入ると渋滞が酷く、とても0時前にH神社に到着できそうにない。 
この後、1時頃に夫の実家に着く予定だったので、0時半迄には神社を出たい。 
車中で話した結果、その夜はH神社への参拝を諦め、元旦過ぎに出直すことに決めた。 

車を回して山を降ろうと脇道へ入った時、
夫が「そういえば、この先にも神社があるよ」と言い、そこで年を越そうと提案した。 
H神社の流れを汲み、火産霊神(ホムスビノカミ)を祀るその神社(G神社)は地元では知られており、 
住人の間ではそこで年を越し、大混雑するH神社には、年明けにゆっくり参拝するのが慣例だそうだ。
H神社に行けずに愚痴を溢していた妹のA美は、その提案に飛びついた。 

私達は、畦道に車を止めてG神社へ向った。 
中規模な神社の割には、参道に地元の人が長い行列を作っていた。 
既に0時も近く、列に並んだら、夫の実家に着くのは何時になるか見当もつかない。 
そんな時、A美が境内の右の外れを指差して、「あの御社がすいているよ」と言った。 
見れば、参道から少し外れた処にある、細く長い石段の先に、小さな境内社が見える。 
時間もない為、私達はそこへお参りすることにした。 

境内社には青白い灯りが燈っていた。 
社の隣には授与所があり、年老いた巫女が、御守を並べて黙って立っている。 
「この社は町の文化財なんだよ。G神社は、戦時中に一度火事で焼け落ちた。
 その日も丁度、今日と同じく大晦日で、
 沢山の参拝客が火に捲かれて亡くなる大惨事だったけれど、
 この社は火の手を免れて、戦後、この境内社に移設されたんだ。
 本殿は、戦後建て直されたものだよ」
Rが薀蓄を述べた。 

私達は賽銭を投げ、来る年の安寧を祈願した。 
目を瞑り願をかけていた時、突然A美が、「え、なに、なに!?」と怯えた声を出した。 
私も夫も驚いて目を開けた。A美は腰を両手で押え、私達を見て何かを訴えようとした。 
が、すぐに腰から手を離し、今度は誰かを探す風に周囲を見回した。 
「どうかしたの?」と夫が尋ねると、A美は不安げな顔で、
「誰かが私の腰に抱き付いた様な気が」と言い、次いで付け加えた。 
「それと、『あそんで』って声が聞こえた」
私は「気のせいでしょ」とA美に告げたが、薄暗く人気のない社の雰囲気も手伝い、少し怖くなった。
隣では、夫が眉を顰めていた。
「とにかく、帰ろうか」
夫が呟いた。 

参道から、年越しを告げる歓声が沸き起こった。 
私達がその社を去ろうとした際、授与所にいた巫女がポツリと、
「おまもりを持ってお行き」と呟いた。
私と夫は、その老婆が俯いて、目を閉じたまま語りかける姿が気味悪く、 
また、御守自体も、剥き出しの木に紋様が刻まれた、得体の知れない代物である為、受け取らなかった。
ところが、A美は一つ貰ってきた。代金はかからなかった。 

帰りの車の中、A美が「腰が痛い」と頻りに訴えるので、私は彼女の腰をさすってあげた。 
「そんな変な御守どうするの?」と私が訪ねると、妹は「なんか怖かったから、厄除けにもらった」と答えた。 

Rの実家には、予定の午前1時より少し前に着いた。 
義父と義母が私達を出迎え、居間に通してくれた。義父は町役場の古株で、義母は教員。 
二人ともこの町の生まれで、郷土史研究を趣味にしている。 
新年の挨拶を手短に済ませた後、私と妹は客間で寝ることになった。 

寝屋の支度をしていると、A美が小さな飾り棚に置いてあったお手玉を手に取り、
「珍しいね。私、やったことがないや」と言った。
私達は、程なく床に就いた。 

その夜更け、私は物音で目を覚ました。 
慌てて部屋の明かりを点けると、隣で寝ていたA美が白目を剥き、口から泡を吹いて痙攣している。
私は驚いて、「A美、A美」と何度も妹の名を呼んだ。 
声が聞こえたのか、隣の部屋で寝ていた夫が飛び込んできた。 
気が付けば、妹の発作は治まっており、スヤスヤと寝息を立てている。 
私達は安心し、寝床に戻った。

明け方、私は再び物音で目が覚めた。A美が隣にいない。台所から音がする。 
私は恐る恐る台所を覗いた。A美が屈んでいた。冷蔵庫の扉が開いている。 
なにやら、ぐちゃぐちゃと音がしていた。
見れば、A美は片手に大根を、片手に生肉を持ち、凄まじい形相で貪り喰っている。 
私が「親戚の家で、なんて真似を!」とA美を叱り、腕を掴んだが、
妹は従うどころか私を振り払い、無言で食事を続けた。
彼女の口の周りは、牛肉の血で染まっていた。 

妹は存分に食物を喰らった後、すっと立ち上がり、私には目もくれずに脇を通り過ぎて、客間へ戻った。
私は急いで妹の後を追った。 

客間に戻ると、お手玉で遊ぶA美の後姿が目に入った。 
何故か異様に上手で、耳慣れない唄を口ずさみ、五つ一遍に延々と投げ続けた。 
その顔には、不思議な薄ら笑いが浮かんでいる。
私は気味悪く感じたが、とにかく気にしない事にして、三たび床に就いた。 

眠りについた私は、直ぐに誰かに揺り起こされた。 
目を開くと、A美が私の上に覆い被さり、
目を大きく剥いて、鼻がくっつく程近くで、無表情に私の顔を見つめていた。 
「お話して。あんころもちとか、瓜子姫とか」
彼女が言った。 
私は驚いて、すぐに顔をA美から離して、「あんころ?何?わかんない」と答えた。 
すると妹は、突然私の首を両手で締め上げた。
その余りの力の強さに、私は声も出せず、必死に足をばたつかせ抵抗した。
A美は薄ら笑っていた。 

すぐに隣室のRが、続いて義父と義母が飛び込んできて、三人がかりでA美を取り押さえた。
両手足を封じられたA美は、狂人の如く?いて、義父の腕に齧り付く。 
義父はすぐに逃れたが、腕には鮮血が迸り、深い口創が刻まれた。 

それでも、三人は何とか荒れ狂うA美を御し、紐で何重にも柱に括り付けた。 
A美は大きく目を剥いて私達を睨み、頭を激しく振回して「殺してくれるわ!!」と、大声で喚き続けた。
時折、おぞましい声で泣き叫んだ。 

朝になって、義父がH神社の宮司に電話をかけ、宮司が家に駆けつけた。 
宮司は暴れる妹の姿を見て苦笑しながら、「あれはどこだね?」と義父に尋ねた。 
義父は私と夫に、「何か御守の様な物をもらったか?」と訊いた。 
私は飾り棚の上から例の御守を取ってきて、宮司に渡した。 
「やはり。こりゃ、マモリだ」
宮司はそう呟き、H神社でA美に処置を施すからと、義母に同行を求め、
すのこで妹を簀巻きにして、車に載せて去って行った。 

一行を見送った後、義父が突然Rを怒鳴りつけた。
「お前が一緒に居たんだろうが!!」 
夫は下を向き、唇を噛んだ。 


「あれは、『魔漏』つー物だ」 
義父は私にそう告げ、何処で手に入れたか説明を求めた。 
私が初詣の状況を詳しく伝えると、「やはりG神社なぁ」。義父は溜息をついた。 
「Rには幼少から、この町の歴史や伝承を教えたんだがなぁ。
 御霊信仰(ゴリョウシンコウ)は、只の言い伝え程度に思ってたか?」
私は、昨晩夫が眉を顰めたことを思い出した。 

義父は淡々と語った。 
「G神社は、本来、御霊信仰から興った。
 禍津日神(マガツヒノカミ)を祀ることで災厄を抑え、逆に、邪悪な神力を政に転用するものだ。
 それを、戦後の神道指令を契機に、H神社の一神である火産霊神を主に祀り、禍津日神を境内社に祀ることで、
 事実上、そこに封じ込めた」 
その時、黙っていた夫が口を開いた。 
「禍津日神を頼んで、あの一角には幽世(カクリヨ)に行けず、現世(ウツシヨ)に迷う怨霊が集まる」 
義父は深く頷いて、話しを続けた。 
「そう。でも、だから参拝するなつーことではないよ。
 あの社で禍津日神に祈りを捧げれば、禍力は鎮まるし、本来、御霊や怨霊の類は境内社の外には出られん。
 だが、その目的を理解せずに参拝すると、おかしなことになる」
義父は暫く私を見つめ、言葉を続けた。 
「授与所が在ったと言ったね。年老いた巫女が魔漏を配っていたと」
私は頷いた。
「あの境内社に、授与所なんぞないよ」
義父は、そう言って苦笑した。 
「あそこで他の神に祈れば、禍津日神が怒り、禍を増長させる結果になる」 
義父が、諭す様に私に言った。
「だが、禍霊共が外に出るには媒体が必要だ。魔漏は、その代表だよ。
 その巫女は、神霊の権化かも知れん。若しくは、町の何者か。
 昔からここに居る者の中には、未だに御霊信仰に傾倒する者も皆無ではない」
義父は私に、初詣中にA美に異変があったか訊ねた。 
私は、妹がおかしな声を聞き、何かに怯えていたこと、腰を痛がっていたことを伝えた。 
義父は、「曲霊(マガツヒ)の好き嫌いもあるからなぁ」と呟いた。 
そして言った。
「A美ちゃんは波長が合ったのかね、霊に気に入られたんだなぁ。
 で、そ奴は魔漏に入り込み、まんまと境内社の外に出て、A美ちゃんに取り憑いた」 


私が俄には信じられない様子でいると、義父が優しく言った。 
「A美ちゃんは大丈夫だ。宮司にしてみりゃ、手馴れたものだよ。
 信じようと信じまいと、これからは、神仏の意味を理解して、お参りすることが大事だなぁ」 

妹と義母は、元旦はH神社から帰らず、二日の朝に家に戻ってきた。 
A美はH神社から戻った後、何事もなかったかの様に明るく振舞っていた。 
私達は三箇日をRの実家で過ごし、四日に東京へ戻った。 
別れ際、義母がA美に、
「一霊四魂。
 自分を見失わず、危うきには近づかず、
 直霊(ナホビ)にて御魂が統治される様、何時もしっかりと自分の心に耳を傾けるんだよ」
と伝えた。 

帰りの車中で、私は妹に、己の奇行を覚えているか訊ねた。 
だが、妹は何も答えなかった。追究しようとする私を、夫が諌めた。 

あれから一年近くが経ち、次の正月が近づいている。 
私は夫と、今年も実家に帰る日程を話し始めた。 
そんな折、私の家に遊びに来たA美が、どういう心境からか、件の一日のことを語った。 
「去年の大晦日、私があの神社で、誰かの声が聞こえたと言ったの覚えてる?
 あの夜、私は誰かの声で目を覚ましたよ。
 目を開けると、辺りは真っ暗なのに、不思議と良く見えた。 
 すると天井の隅の方から、『あそんで。あそんでよ』と聞こえたから、私は声の主を探したの。
 その時、見ちゃった。
 天井を這って、私に近づいて来たんだよ。裸なのに真黒な女の子が。
 焼け爛れた皮膚が、所々体からずり落ちていて、全身は黒焦げだった。
 その子は逆さのまま首をぐるりと捻って、大きな黄色い目で私を捉えて、嬉しそうに笑ったんだ。 
 更に怖かったのは、異常に長い髪の毛が天井から床まで垂れ下がって、
 その子が髪をずるずる引き摺りながら、這い寄ってきたこと」 


「それが、ゆっくり私の真上まで這ってきて、髪の毛が私の顔に被さった。
 で、赤い歯を剥きだして笑ったんだ。
 そしたら、上半身だけがずずずっと天井から伸びて、私の目の前に、女の子が両手を差し出して迫ってきた」
私は、「それから後は覚えている?」と訊ねた。
A美は頷き、続けた。 
「その後は、私は灰色の空間にいたの。周囲に、丸いものが四つ漂っていた。
 少し離れた処にあの子がいて、四つの玉を操る様子で、何か唱えてた。
 私は動くことも、声を出すこともできず、ただ立たされたままその光景を見ていた。
 四つのうち、赤っぽい一つが極端に大きく膨らんで、激しく乱舞していたよ。
 それから随分時間が経って、私はその空間から引きずり出されたの。
 気が付くと、目の前に宮司さんがいた」
私が、奇行について訊くと、
「自分では覚えていないけど、叔母さんからきいた」と笑って答えた。

宮司はその後、A美に滔々と理を説いたそうだ。 
神社のことや神のこと、魂の成り立ち、現世と幽世のこと。 
妹は話を聞くうちに、段々と恐怖感が薄れていったという。 
話しを終えて妹は言った。
「今年は、ちゃんと禍津日神を鎮めるために参拝したいな」 
夫は私に、「A美ちゃんは良く理解しているよ。僕なんかより、余程」と囁いた。 
私は俄には信じがたい話に唖然としつつも、参拝には同意した。 
今年の正月もあの社へ行く。だが、あの授与所があっても、おまもりは絶対に貰わない。 

そういえば一つ、私が気になっていることがある。
A美はあれ以来、お手玉で遊ぶことが多くなった。 
H神社で処置を受け、家に戻ったあの日、妹は上手にお手玉ができるようになっていた。 
彼女は時折、私の家の和室でもお手玉をする。 
耳慣れない唄を歌いながら、延々と投げ続ける妹の背中を見ていると、
あの夜に客間で遊んでいた、得体の知れないA美の後姿が脳裏をかすめ、不安を覚える。 
夫も少し引っかかる様子で、それを見る度に「気にしない、気にしない」と、決まって独り言をいった。
私も深く考えない様に努めている。

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もう8年前になるかな・・・ 
当時高校生で、夏休みの時期でした。 
6年ぶりに、「遠くに住んでる祖父母に会う」と父が言いました。 
夏休みももうそろそろ終わりで、遊ぶ金も使い果たしたので、暇つぶしにいいかなと。 
祖母さん祖父さんもかなり年食ってて、会うのもこれが最後かな・・・とか、孝行のつもりでも行きました。 
祖父母は、某県の佐○島という、田舎中の田舎に住んでました。 
ビル等全く無く、文明に孤立したような雰囲気でした。 
ところどころに、ほこらのようなものがありましたが、 
不思議に感じたのが、それに祀っている物です。 
普通は、お稲荷さんとか狛犬(?)とかじゃないですか。 
でも、島中のほこらで祀ってるのは『目が一つの子供』。
よく、一つ目小僧とか、単眼入道とか、サイクロプスとか出てきますよね?そんな感じなんですよ。
まぁこの島の伝統上の神様なんだろうな、とあまり気にはしませんでした。 

港から車で一時間、祖父母の家に到着。 
ぼろくせぇんだろうな、と思ってたが、自分の家とあまり変わらず、中も案外綺麗でした。 
祖父さんは「おっきくなっとんの!」と、大袈裟に歓迎してくれました。 
居間にいき、デジャヴが起こりました。
掛け軸のようなものが飾っており、そこにはここにくる途中に見た、一つ目の子供の絵がかかれてました。 
俺は祖父に『これ』についてたずねてみると、
「これはぁな、不吉の象徴なんじゃ」
不吉?なんでそんなもんまつっとんの?と俺は再度尋ねてみる。
「辰眼童(シマナオ)さまといっての。わしら愚かな島民が産み出したのじゃ・・・」 
祖父さんは少し暗い顔になった。俺は尋ねるのをやめた。 


家にいてもやることもないので、外に出てみた。 
家のすぐ裏には丘があり、何気なく登ってみる。 
丘の頂からみた景色は結構良く、ずっとここにいても飽きが来なかった。 
眠たくなったので、横になり、すぐに眠ってしまった。 

そして眼が覚める。もう日が暮れていた。 
彼奴等も心配してるだろうと思い、体を起こし、家に帰ることにした。 
「キェィィィィ」
突然、俺の右側から、猿のような、女のような、子供のような、変な呻き声が聞こえてきた。 
俺はビクッとしたが、地元の子供が騒いでるのだろうときにはしなかった。 

丘を降りようとしたとき、後ろから声がした。 
子供の声だった。なんていったかはわからんかった。 
後ろを振り返ると、2~3歳くらいの子供が立ってた。 
暗くてよく顔はわからなかったけど、褐色の半纏のようなものを羽織ってた。 
「ハッゼテ!ハッゼテ!」と、意味がわからない言葉を発してた。 
声にも違和感があり、鼻声(?)みたいな感じで掠れてた。 
その子供は俺に手を差し出した。
何かをくれるような仕草だったので、俺も何も考えず手をだした。 
子供は俺の手に『何か』を落とし、スー・・と消えてった。 
俺はポカーン(゚Д゚)としてたが、ふと我に返り、家に帰った。 

玄関は明るかったので、さっき子供が俺に手渡した物を確認した。 
・・・・首飾りだった。 
薄汚れた紐に、リング状のすべすべしたものがぶら下ってた。 
汚かったので、とりあえずゴミ箱に捨てた。 
祖父さんや父さんに先のことを言おうとしたが、やめといた。 

そして夜も更け、寝床につく。 
昼に寝てしまったせいか、寝れない。 
自分はそんなの関係なしにぐっすり眠ってしまう体質なんだが、眠れなかった。 

「ナシテ・・」 
寝室の窓のほうから声が聞こえた。あのときの、子供の声だ。 
俺はハッとなった。 
「ナシテ・・・ナシテ・・・ステオッタ」 
確かにあの掠れた鼻声だった。 
俺は怖くなって、ふとんをかぶった。 
すると、子供の声がだんだんと近づいてくるのに気づいた。 
あ・・・やばい。と思った瞬間、俺の足を誰かが踏んだ。 
俺は「わぁぁっ!」と叫び起き上がった。 

月の光でそいつの顔が照らされてた。 
またしてもデジャヴ。
それは、ほこらに飾られてた『辰眼童』の顔だった。 
兎口に、鼻がなく、大きな一つの眼が顔にあった。 
髪の毛は頭のてっぺんにちょんと乗った感じ。 
俺はもう、ここで死んじゃうんじゃないか、というくらいな動揺具合だった。 
そいつは、俺の手をギッとつかむと、またもすっと消えてしまった。 

そして、すぐに隣で寝てた親と祖父母が駆けつけてきた。 
「どしおった?」 
祖父さんが聞いてきたので、俺は一言だけこういった。 
「今、辰眼童に会ったよ」 
祖父さんと祖母さんは、それを聞くとかなり驚いてた。 
「まっことか!?辰眼童様に会ったのけ!?祟られたのか!?」 
祖父さんがすごい形相で俺に尋ねてる横で、両親は困ったというかあきれた顔をしてた。 

俺も何も言えなくなった。
そして、すぐにゴミ箱に捨てた首飾りを探した。でも、何故か無かった。 


朝になっても俺は鬱状態だった。 
縁側の近くで崩れた状態で座ってる俺の前に、祖父さんが寄ってきて語り始めた。 
「70年くらい昔にな、とある兄妹がおった」 
なんの話だ?と思ったが、俺はとりあえず耳を傾けた。 
「その兄妹の仲はとてもよかったがな。愛は歪んでおった。 
 ある日、妹の腹に、兄との子ができたことがわかったのじゃ。 
 島の宗教上、血の繋がった者が交わるのは過剰に禁じられていた。 
 禁を犯した者は処刑されるという、厳しい掟があったのじゃ。
 そして、その兄妹も処刑されることが決まったんじゃ。 

 しかし兄妹はそれを拒み、かけおちをしてしまった。 
 島民どもは島から兄妹を出さずにと、船を出すのを禁じ、血眼になって兄妹を探した。 
 そして、山奥の古小屋でその兄妹を見つけたんじゃ。 
 妹は、赤子を抱いておった。産んでしまったのじゃ。 
 それを見つけた島の男が、その赤子を妹から横取り、殺そうとした。 
 しかし、その男は悲鳴をあげ、その赤子を放り投げてしまったんじゃ。 


 その赤子は、目が一つしか無かった。 
 兎角、兄妹と赤子を島の奉行所に連れて行ったのじゃ。 
 兄妹はすぐに首をはねられたが、一つ目の赤子を殺すと祟られるのではないかと皆は思い、処刑を延ばした。 
 しかし、生かしておけば尚更禍がおきるであろうと、その赤子をも殺したのじゃ。 
 その赤子には、魂をも滅しようと岩石で頭を潰し、体を切り刻み、海に捨てるという、酷な処刑法を施した。 

 赤子を処刑し、数日が経ったであろうか。兄妹を処刑した3人の奉行人が死んだんじゃ。 
 そして、赤子を処刑した奉行人、兄妹捜索に協力した30人の島民が相次いで死んだ。 
 島民等は、一つ目の赤子が、こやつ等を葬ったのと考えたのじゃ。 
 そして、それから年に一人。幾処の産まれて間もない赤子が死んだ。 
 島民等は一つ目の赤子の呪いじゃと思い、島中に赤子を祀るほこらが作られたんじゃ・・。 

 今でもその赤子は、時たま島民の前に現れ、
 母がくれたのじゃろう、首飾りを渡しているそうじゃ。 
 なぜ首飾りを渡すのはわからん・・・」 

祖父さんはそれを言い終わると立ち上がり、自分の部屋へと戻っていった。 
俺はそれを聞くと、とても悲しい気分になった。 

それから8年、まだ祖父母は健在だ。1年にいっぺん祖父母のとこに行っている。

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全国的にずいぶん雪がふったね。
おれの住んでいる田舎町(はっきり言ってド田舎)も、ふだんはあまり雪は降らないんだけど、
今回はずいぶん降った。 
で、2年前の、同じように雪がひどく降ったときの話だ。 

その日、おれは2階の部屋で一人寝ていた。 
おれの家はショボい専業農家で、50代の親父と母ちゃんと、おれの3人暮らしだ。 
まだ明け方前だけど、下の階で親父がガダガタなにか音をたてて、玄関から出ていくのを、
おれは布団のなかでうつらうつらしながら聞いていた。
天気予報じゃ大雪になるって言ってたので、親父はビニールハウスが雪に潰されてないか心配で、
まだまっ暗ななかを見にでかけたんだ。
都会のサラリーマンも大変なんだろうけど、こういうときは農家もけっこう大変なんだ。 
もっとも、おれの方はこのクソ寒いなかを付き合う気にはなれず、
親父には悪いけど、そのままぬくぬく布団のなかで寝つづけてた。 

ところが、しばらくしたら、家の前へギシギシと早足で雪を踏む音が近づいてきて、
玄関がガラっとあいたかと思うと、ドタバタと家に駆けあがる足音が続き、
親父が電話で「・・・そう●●橋の上、救急車!若い女が首やら手首やら切って血まみれで・・・」と叫んでる。 

ただごとじゃないと思って、おれが下に降りて行くと、
親父が血相かえて「橋のうえで女が首切って自殺しかけているから、すぐに戻るぞ」と言う。
おれは慌ててスウェットの上からジャンパーを引っかぶり、長靴に足を突っ込むと、
親父といっしょに、まだ真っ暗で雪の降りしきる表に出た。 
親父に、「要領を得ないので説明してくれ」と言うと、親父は歩きながら次のようなことを話してくれた。 

おれが思ったとおり、親父はビニールハウスを見にいくために家を出たそうだ。
ビニールハウスは、おれの家の近所の、小川に毛の生えた程度の川にかかった、
古いコンクリートの橋を渡った先にあるんだけど、
この辺はド田舎なもんで、街灯は1キロに1本くらいしかなくて、夜は真っ暗闇に近いんだ。
都会の人にはわからないかも知れないけど、ド田舎の夜の暗闇ってのは、ホントに凄いものなんだ。 

で、親父が橋の近くまできたとき、その辺に一本だけある街灯の薄暗い光のなかに、
橋の上の欄干の脇で、誰かがうずくまっているのが見えたそうだ。
近づくと、それはコートを着た長い髪の女だった。
親父は、こんな時間にこんな所で何をしているのか、といぶかしんだが、
女が苦しんでいるようなので、心配して「どうしたんですか?」と声をかけたそうだ。 

そのとき親父が女の足元をみると、雪のうえにヌラヌラしたどす黒い液体がひろがっているのが見えた。
驚いた親父が女の前に屈みこむと、突然女は苦しそうな呻き声とともに顔をあげた。
目をカッと見ひらいた女の顔は、口のまわりや首のまわりが血まみれで、右手に女物の剃刀がにぎられていたそうだ。
女は苦しそうな呻き声をあげながら、その剃刀を血まみれの首にあてて、そしてそれを一気にグイッと引いた。
湯気をたててどす黒い液体が噴きだし、女の胸元や足元の雪を染めていく。 
親父は息が止まりそうになりながらも、女から剃刀を奪い取り、それを川に投げ込んで、
「馬鹿なことをするな」と怒鳴りつけて、 
急いで家まで救急車を呼びにもどってきた、という訳だ。 


だが、親父と二人で、闇の中を雪に足をとられながら橋にきてみると、
街灯のうす暗い光のなかに、女の姿はなかった。
親父は「おーい、どこにいるんだ」と女を呼んだが返事はなく、おれもあたりの闇を見まわしたが、人の気配はない。
そして不思議なことに、女がうずくまっていたと言うあたりの雪には、親父の足跡しかなかった。 
「川だ」
おれは女が川に飛び込んだんじゃないかと思い、雪に埋もれた土手の斜面をおりて探そうとした。
だが、土手下は足元も見えないほどの暗闇につつまれていて、危険で降りられなかった。 

そうこうしているうちに、救急車が雪のなかをもがくように到着し、
また、駐在所の警官も、原付バイクで転倒しそうになりながらやって来た。
親父は警官に経緯を説明し、空もようやくしらみはじめたので、救急車の隊員も一緒に、周囲をさがしてみた。 

だが、周囲にも膝までの深さしかない川の橋の下にも、女の姿はなかった。 
女の足跡もなく、それどころか橋の上の雪には、わずかの血痕さえもなかった。 
夜が明けてからも、止む気配もない雪のなかを1時間ほどさがしてみたが、
女がいた形跡はなに一つ見つけられなかった。 

らちがあかないので、救急車は来た道を戻り、親父は警官といっしょに駐在所へ行くことにした。
書類をまとめるために、事情をあらためて聞かせてほしいとの事だった。
おれは何ともいいがたい気分で、独り家へ戻った。 


家に帰ると、母ちゃんが台所で朝飯のし支度をしていた。
体の芯まで冷えたおれは、すぐ炬燵にもぐりこみ、そのままの姿勢で先ほどまでの経過を母ちゃんに話した。 
母ちゃんは、「気味がわるいねえ」とか言いながら味噌汁つくっていたが、
ふと、台所の窓から外を見ながら、「あれ、その女の人じゃないかね」とおれを呼んだ。 
おれは台所の窓に飛んでいったが、窓からみえるのは降りしきる雪ばかりだった。 
「私の見まちがいかねえ」とボヤく母ちゃんを尻目に、おれは再び炬燵に戻ろうとしたが、 
そのとき、炬燵が置いてある古い六畳間の窓の外から、
ガラスに顔をちかづけて、こっちを見ている女と視線がばったり会ってしまった。
女は細面の青白い顔で髪が長く、そして口のまわりと首のまわりにベッタリ血がついていた。
おれは体が凍りつき、頭のなかが一瞬まっ白になったが、気がついたときには女の顔は消えていた。
あわてて窓をあけて表を見たが、女の姿も、足跡もなかった。 


おれは迷った挙句、駐在所に電話をいれる事にした。
親子そろって頭がおかしくなったんじゃないか、と言われそうでためらったのだけど、
おれが見たのが幻や幽霊であったとしても、見たことは事実なのだ。 

受話器のむこうで何度か呼出し音がしたあと、聞きなれた声の警官が出た。 
おれが自分の名を告げると、警官は開口一番、『なんだ、また出たってのか?』と言ったので、おれは気おくれして、
親父はまだそこにいるんですか、とだけ聞いた。 
親父は『もう30分くらい前に駐在所を出た』との事だった。 

おれは母ちゃんと親父の帰りを待った。30分前に出てるなら、もう着いていてもいいころだ。
だけど親父はなかなか帰ってこなかった。
おれは母ちゃんと二人で、冷めた朝飯を食いながら、
「親父はまっすぐビニールハウスを見にいったんだろう」と話した。

だけど、昼過ぎになっても戻ってこないので、おれはビニールハウスに親父をさがしに行った。 

例の橋まできたとき、やや新い足跡がひとり分、橋のうえに続いているのが見えた。
その足跡を目で追うと、それは橋の途中の、例の女がうずくまっていたと言うあたりまで続き、そこで消えていた。
その欄干の上の雪は、半分ほど欠けていた。
おれは欄干に近寄り、そこから川面を見下ろした。 
まっ白な雪の土手にはさまれた川の、膝くらいまでしかない流水のなかに、 
黒いジャンパー姿の、長靴をはいた男がうつぶせに倒れていた。
おれは土手を走り降り、川に入っていった。
うつぶせに倒れている男は、親父だった。 

おれは必死に親父を土手にひきずり上げたけれど、すでに脈も呼吸も止まっていた。 
降りしきる雪の中を見あげると、川の対岸に、
髪の長いコート姿の女が、口、首、胸のまわりを血で真っ赤に染めて、立っていた。 
女はすぐに雪のなかに消えた。 

おれは母ちゃんと二人、まだこの家に住んでいるが、あれ以来、雪の降る日は一歩も外に出なくなった。
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わたしが母方の田舎にかえったとき、良く遊んでいたサキちゃんという女の子がいたのですが・・・

当時、小2の夏休みでした。
実家の裏山でいっしょに遊んでいるときに、いたずら心からか、
山中の空き地に放置されていた冷蔵庫に、サキちゃんを閉じ込めてしまったのです。
子供の頃は好きな子に、逆にいたずらとかをして気を引こうとしてしまう、そんな行為からでした・・・ 
すぐに冷蔵庫を開けてあげるつもりでした。
ところが、一度閉まってしまった冷蔵庫は、わたしがどんなに引っ張っても開かなかったのです・・・ 

そこで事の重大さに気づきました。 
わたしは「開けてよー開けてよー」と泣き叫ぶサキちゃんを後に、その場を立ち去ってしまったのです・・・ 
もちろん親を助けに呼ぶためでした・・・
しかし、いざ家に着くと、このことを話せば酷くしかられるのでは・・・
そう思った私は、なかなか言えずにいました。
そして昼食を出されたとき、わたしの記憶からそのことがすっかりと抜け落ちてしまったのです・・・ 
昼食後、私は眠気に襲われ、そのまま眠ってしまいました。

気がつくと、父親がものすごい形相で私を起こしていました。
「おい。お前、サキちゃんを知らないか!?」 
それを聴いた瞬間、わたしは体中が一瞬で冷たくなっていくのを感じ、
とっさに「知らない」と返事をしていました。
あたりはすでに夕暮れでした・・・
「まさか・・まだあの冷蔵庫の中に・・・」 

その夜、捜索隊など地元の人たちが総出で山中を探したそうですが、未だにサキちゃんはみつかっていません。
捜索隊が出たなら冷蔵庫も発見されて、中も調べられているはず・・・
それでも見つからないのは、きっとサキちゃんは、どうにかして冷蔵庫からは出れたんだ・・・
その後に山の中で迷ったのか、誘拐されたか・・・・
きっとそうだと、わたしは自分に思い込ませています・・・

ですが今でも、冷蔵庫だけでなく・・・戸棚やドアを閉めるたびに、
サキちゃんの「開けてよー開けてよー」という声が、聞こえてくる気がするのです・・・
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七年前に勤めた会社が倒産し、就職難の中で運転手に転身したTに起きた事です。

最初は小さい2t車での仕事だったTも、運転手に転身して一年も経つと4t車に乗る様になり、
県内だけでなく県外にも足を延ばすようになった。
今から五年程前の雨の夜に、隣県から帰る為に県境の峠道を走っていたTは尿意を覚えて、
山頂の少し手前の広い所にトラックを停めて用を足した。
雨は小雨程度だが霧が出ているし、交通量も疎らな峠道にいつになく嫌な雰囲気を感じていたが、
用を足してスッキリしたTがトラックに戻ろうと振り向くと・・・・・
助手席側に人が立っているのに気がつき、一瞬身を固くする。
こんな真夜中に峠で人が?
恐る恐る観察するTに人影が振り向いた。
若い・・・二十代前半位の女性。
肩までくらいの髪も、どこかの会社の制服と思しき衣類も全部が雨で濡れている。
思わず声をかけようとしたTより先に女が言葉を発した。
「峠を降りた○○まで乗せて下さい」
小さく、か細く・・・
しかしはっきりと聞き取れる声だった。 

女の申し出に、一瞬よく耳にする様々な怪談話を思い出すTだったが、
その女の何とも哀しく寂しそうな顔への同情が恐怖を上回った。
いいですよ、どうぞ。
そう言うとTは助手席のドアを開けてやり、女に乗る様に促した。
ステップを踏み手摺りに手をかけ女が乗り込む時、ふとTは彼女の足元を見てやっぱりなと感づく。
助手席側や運転席側のドアを開けると室内灯が点くようにしてあった。
光があたれば物体は必ず影を残すはずなのに、彼女には影が無かった。
だが不思議と恐怖を感じないままに、Tは彼女が助手席に座るとそっとドアを閉め、運転席へと乗り込み車を走らせた。

走らせながら彼女の横顔をチラチラと横目で伺う。
最初と変わらない寂しげな横顔のまま、言葉もなくただ俯き加減に座っている。
意を決してTは彼女に勝手に、独り言のように話しかけた。
「悲しい事とか色々あったりしましたか?
 辛い事、悲しい事、何があったのか僕には分かりませんけどこんな所に居ては駄目です。
 行くべき所があなたにはあるんじゃないですか?
 僕にはしてあげられない事かもしれませんが」
Tの言葉に彼女は反応を見せない。 

この峠を下り彼女の望む所までにはまだ二十分はかかる。
その間もTは構わず一方的な会話を続けた。
「○○にはあなたの何かがあるのかな?
 そこに行ってその後どうするんですか?
 またあの峠に戻ってしまうのですか?
 繰り返しては駄目だと思います。
 次へ進まないと」
彼女はただ俯いたまま黙っている。
聞いているのかさえ分からないままTは話しかけ続け、ようやく峠を下った。

突然彼女は前方を指差すと、「あそこで」とだけ言った。
なんの変哲もない住宅街への交差点だった。
Tはハザードランプを点けトラックを停めると、彼女のほうを見た。
「ありがとうございました」
微かに聞こえる声だけ残して彼女は消えてしまった。
そしてもう一言、どこからともなく聞こえた「行きます」の声にTは安堵のため息を吐き出し、
再び車を走らせ無事に会社に帰った。

後日、Tはあの峠で起きた事件を同僚から聞いた。
十年前、情事のもつれから当時二十二歳の女性が絞殺され、死体が遺棄されていたのだと言う。
当時の彼女が住んでいた町こそ、Tが彼女を降ろした住宅街だったそうだ。

その後あの峠で彼女を見る事もないまま、Tは三年前に子供をもうけ幸せに暮らしていた。
生まれた女の子も大きな病気や怪我もなく明るい元気な子で、Tは溺愛し娘も父親を慕っていた。

そして今年・・・峠の彼女の事も記憶から忘れていたTは、再び彼女と再会する。
9月の半ば、夜中に目を覚ましたTが喉の渇きを覚え、台所で茶を飲み寝室に戻った時だった。
妻の横で寝ている愛娘が、布団から飛び出して寝ていた。
なんて寝相だと苦笑しながら娘を布団に戻したその時・・・
娘が眠ったままTの手を握り、「ありがとう、あなたがあの時助けてくれたから私は今生きてます。本当にありがとう」と言った。
彼女の声で・・・
娘の口で・・・
生まれ変わりなのか娘の口を借りただけなのか分からなかったが、恐怖は感じず不思議な温もりを覚えた出来事でした。

私(T)も家族も何ら不幸なく平穏に過ごしてます。
オチなしの怖く無い上に長文失礼。

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会社の先輩のIさんに聞いた話。 

先輩が大学一年のときに、仲の良いサークル仲間4人で肝試しに行くことになった。 
ちょっと市街地から離れたところにある廃病院。お化けが出るって結構有名なとこだ。 
時間はちょうど夜中0時くらい。車を病院玄関前に止めて、各々懐中電灯を片手に車から降りた。 
窓ガラスは皆割れており、壁にはツタがびっしりと茂っていて、無人になってからかなり経っているのがわかった。
建物の中も落書きやらゴミやらでボロボロなんだけど、 
各部屋に雑誌とか、ベッドとか、カルテとか、いろいろ残ってて結構怖かったらしい。 

わいわい騒ぎながらテキトーに部屋を回って、3階にたどり着いたとき。
当時大学三年だったKさんが、とんでもないことを言い出した。 
「なあ、今からジャンケンして負けたやつが、この階の廊下の端っこまで1人で行くってのどうよ」
遊び好きなメンバーは、喜んでその話にのった。Iさんは内心かなりびびってたらしいけど。 
で、ジャンケンの結果はというと、言いだしっぺのKさんが行くことになった。 
Kさんは霊感ゼロで、そういう類のものの存在を信じてもいなかったような人で、 
「マジ怖ぇー!」とか口では言ってたけど、ためらいもせずに廊下の奥に進んでったらしい。 
そんなに広い病院じゃなかったから、ずんずん歩いて行くと、すぐに廊下の端は見えてきた。 

振り返ると、他の三人の懐中電灯の明かりが揺れているのが見える。 
さて折り返すか、とKさんが明かりに向かって歩き出したとき・・・ 
・・・ギギギ・・・と、ドアが開く音が背中から聞こえてきた。 
心臓がビクンと跳ねる。風の音か何かだろう、と自分に言い聞かせて、Kさんは首だけひねって後ろを見た。 
中から顔を出したのは、50代くらいの警備員の格好をしたおじさんだった。 
「おいおい君、何やってんのこんなとこで・・・」
何だ・・・人間か。ほっとした次の瞬間、Kさんは部屋から出てきたその男の身体を目にして愕然とした。 
男の身体は上半身と下半身が異常にねじれ、腕の関節は通常とは逆に折れ曲がっていた。 
Kさんは声にならない叫び声をあげて、仲間のもとへ走り出した。 

Kさんを待っていた三人は、廊下の端から走ってくるKさんを見て最初は笑っていたが、 
Kさんを、いや、Kさんの後ろのモノを見るやいなや、声をあげて逃げ出した。 
後ろを振り向くと、足を引きずりながら追いかけてくる男が見える。 

ズルッズルッズルッズルッ 
「待って・・・待って~・・・あはははははは・・・」
後ろから聞こえる不気味な足音と笑い声。4人は死ぬ思いで車に戻った。 

「急げ!早く出せ!」
Kさんが震える手でキーを差込み、エンジンをかけたそのとき。 
「覚えたよ~・・・」
声がした方に目を向けると、先ほどの男が窓ガラスにべったりと顔を当てて車内をのぞいていた。 
「うわあああああっ!!」
Kさんはアクセルを思い切り踏み、車は急発進した。 

それからどう走って帰ったかははっきり覚えてないらしいが、結局4人は無事に帰宅することができた。 
しかし、次の日の晩、I先輩の部屋にその男は現れた。 

夜、I先輩はロフトの上で床に就いていたが、なかなか寝付けずにいた。 
すると下のほうから、ギシ、ギシ・・・とロフトを登って来る音がしてきた。 
やばい・・・!
I先輩は目を固く閉じ、身体を強張らせた。『消えてください、お願いします・・・』と心で念じながら。 

音はすぐに止んだが、すぐに姿勢を崩すことが出来ず、数分が経った。 
『消えたのかな?』 
ほっと息をつき目を開けると、あの男の顔が目の前にあった。 
I先輩の上にまたがり、顔の両脇にひじをついてのぞき込むような形だ。 
男はI先輩と目が合うと一言、「・・・違うなぁ~」と言って、消えていった。 
そのままI先輩は気を失った。 


次の日、I先輩は他の3人にその話をした。Kさん以外の2人にも同じことがあったらしい。 
Kさんだけが何事も無かったのだ。
「俺、昨夜は何も無かったけど、昨夜からなんか・・・すげぇ気持ちわりぃ」
たしかにその日のKさんは顔色が悪かった。 

それからKさんは極端に元気が無くなり、あまりI先輩たちの遊びの誘いにものらなくなった。 
しかし、特に何があったわけでもなく、Kさんは卒業していった。 

それから数年後、大学も卒業し、今の会社に入ったI先輩は、当時のことを忘れかけていた。 
肝試しのメンバーの1人から連絡がくるまでは。 
その人によると、Kさんが体調を崩して、ここ一年ほど入院しているらしい。 
I先輩たちは入院先の病院に見舞いに行ったが、Kさんの様子が少しおかしい。 
しきりに何かに怯えている様子で、話をしてもまったく噛み合わないのだ。 
家族の話によると、ここ数ヶ月で、彼の精神年齢がどんどん逆行しているらしい。 
I先輩たちが訪れたときは、ちょうど中学生くらいだったそうだ。 
さらに、「常に何者かの視線を感じている」と話しているとか。 
大学時代の肝試しのことが、I先輩の頭によぎった。 

その数ヵ月後、またI先輩はKさんの見舞いに訪れた。
もうそのときには、Kさんの精神年齢は4、5歳くらいにまで逆行していた。 
Kさんはしきりに、「変なおじいちゃんが笑って見てるの。怖いの、怖いの」と訴えていたそうだ。 

それからさらに数ヶ月後、Kさんが亡くなったという連絡が届いた。 
もう話すことも食事をすることもままならず、点滴生活の末亡くなったらしい。 

I先輩はこの話を俺にしたあと、しみじみと言った。
「Kさん、最期まであのじいさんに見られてたのかなぁ」

・・・この話聞いてから、肝試しなんてできなくなりました。
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九州にあるH港って港に(名前とか伏せた方がいいのかな)、中学のときの美術の授業のスケッチで行った。 
友達と自分は二人で、たまたま泊まっていた船の絵を描いていた。 

ふと目の前の海を見たときに、不自然に海の色が黒いところがあった。 
「あれ何?」
自分が友達に話し掛けると、友達は突然立ち上がってそこに石を投げつけた。 
黒い所はゆっくりとこちらに近づいてきた。意外にでかかった。 
「鮫?鮫っぽいね」
そのときは自分も友人も、なんで鮫がいるんだろう、くらいにしか思ってなかった。 
しかし黒い所がこちらに近づくにつれ、段々恐くなってきた。 
そのときは単純に、鮫に殺されることの恐怖しかなかった。 
自分達は、とりあえず先生を呼んだ方がいいかと思い、立ち上がった。 


すると、黒い所がバシャッと跳ねて、生臭い臭い(汚い犬みたいな)がしてきた。 
あまりに強烈だっため、自分も友達もびっくりして黒い所を見つめた。 
ゆっくりとそこから、黒緑色のワニみたいな顔が出てきた。 
目は白く濁っていたが、小さな黒目は確認できた。 
自分は目の前にいる物が鮫じゃなかったことに戸惑い、さらに得体の知れない動物がいることに、
激しく恐怖に陥った。正直チビったかもしれない。
その謎の動物はワニのような顔で、頭に枝(角?)が数本刺さっていて、異様な臭気を発していた。 
三十秒ほど固まっていた自分は、まさかこいつが竜じゃないか、と思いはじめた。 

しばらくすると、その得体の知れない竜みたいなやつは、ゆっくりと海の中に消えていった。 
当時この話は、誰に言っても信じてもらえなかったんだが、 
そのことがあった年に、
石を投げた友達の祖母が一人(めちゃめちゃ元気だったのに)、自分の祖父が二人とも亡くなって、
ちらほら信じてくれるやつも出てきた。 
自分にとっては極限まで恐かった話。 

本当に竜だったのか何だったのかはわからないけど、今も恐くてあの港には二度と行けそうにない。 
っていうか、あれ以来一度も海に行ってない。 
誘われても体調が悪いって断ってる。(竜が恐いとは言えないし) 
次会ったら殺されそうで…
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これは俺が厨房の頃、国語教師から聞いた話。

大学時代の話で、当時先生が片想いしてた子が、登山サークルに入ってたんだって。
で、ある時に彼女から、面子が足りないから参加してくれないかと頼まれたそうだ。
先生は一も二もなく飛び付いて、F岳登頂に加わったんだと。

で、当日。
素人だからと少し心配していた先生だったが、他のメンバーのサポートもあり、順調に登って行けたらしい。
しかし、7号目まで来たあたりで突如空が曇り始め、いくらもしないうちにパラパラ小雨が降って来た。 
一行は少し早いが今日は切り上げることにし、近くの小屋(1号目毎にある)に避難した。

そんで食ってだべってしている間に夜も更けていき、22時ぐらいに就寝の運びになったそうだ。 
サークルの連中は流石慣れたもので、すぐに熟睡したが、先生はそうは行かず、なかなか寝付けなかったらしい。
しかもすぐ側には、憧れの彼女が無防備な寝顔を晒して、すやすや寝息を立てているわけで。 

そうやってしばらくぼーっと起きていると、尿意を催してきたんだと。 
で、小屋の外に出た。

小屋の周辺では見られる可能性があるからと、少し怖いが林の中に入ってすることにしたそうだ。
数分後、用を足し小屋に向かって歩いていると、
いきなり小屋の方からドタバタと走り回る音や、甲高い悲鳴が聞こえてきたんだと。
ギョッとして小屋まで走ったら、中で何かが起きているらしく、窓から逃げ惑う様子のメンバー達が見えた。
先生が窓に近寄って覗き込むと、中にメンバー以外の何者かが侵入して、彼等を追い回していたそうだ。
「暗かったが、そいつだけ明らかに容貌が異様だったから分かった」と言っていた。 
全身真っ黒の毛むくじゃらで、目が金色に光って、赤い歯茎が剥き出しになっていたそうだ。
更に目を凝らすと、床に倒れた人影も。 
先生はあまりの恐怖に、そのまま逃げ出しそうになったが、漸く踏み止まり、
近くに落ちていた棒キレを持って扉に向かった。 


しかし、扉は鍵がかかっている様子で、押しても引いてもびくともしない。 
焦った先生は、窓に回りぶち破って入ろうとした。
そのとき、窓が中から打ち割れて誰かが外に吹っ飛んできた。
駆け寄ってみると、あちこちから血を流しながら息もたえだえで、
「××(片想いのコの名前)が…××が…」と、うわ言のように繰り返していた。
それを聞いて先生ははっとした。
そう言えば、さっきあの子の姿が見えなかった!
先生は割れた窓に走った。 

さっきまでの喧騒はいつの間にか止んでいた。
小屋の中は凄かったらしい。今でも時々夢に見るそうだ。
あちこちに黒い血が飛び散り、腕だの足だのも散乱していたんだと。
そしてそのぐちゃぐちゃの真ん中に、しゃがみ込むグロテスクな影が… 


ついさっきまで逃げ回っていたのに…先生はこの世のものとは思えない状況に呆然自失して、
窓の側から動けなかった。
目は、背中を向けて何かを咀嚼している怪物に、釘付けになっている。

そのまま地獄の時間が流れ、怪物はついに振り返った。
その形相たるや形容を絶するほど凄まじく、それを見た瞬間先生は、魔法が解けたかのように走り出した。
暗い林に向かって全速力で。 
「ウオーッ」 
もの凄い叫び声が聞こえて、ドサっと怪物が外に飛び出してきた音が伝わってきた。
先生はもう必死で涙涎垂れ流しで、
「¢%##*′°∪⊥◇◎◎~!!!!」と、キチ〇イのようになりながら走ったそうだ。
しかし、怪物の気配は間近に迫っている。
絶望が脳裏をよぎった刹那、あることを思い出した。
雪男や熊に襲われた時は下に向かって逃げれば良い、と本で読んだことを。
先生は林の斜面を飛び下りるように走った。 
何度か転んだが、すぐはね起きて走った。

そのうち、後ろの気配が段々遠ざかって行った。
だが先生は、その後も足を止めずに走り続け、なんと麓まで行ってしまったらしい。 


翌日、警察隊が小屋に到着した時には、怪物の姿はなかった。 
メンバーは一人を除いて、全員死亡が確認された。
中には半分以上ない人もいた。
しかし、彼女だけは見付からなかった。血も検出されなかったそうだ。
その後、今に至るまで行方不明なのだそうだ。
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くだらない話なんでスルーして結構。 

父が再婚し、新しい母が出来たのだが、ドラマに出てくるようにムカつく女で、 
単純に言うと、父の前ではいい顔をし、私の前では罵声など当然・・・といった感じだった。 
しかも超ドケチで、空のペットボトルを歯ブラシ立てに使い、
父に「生活の知恵があっていいな」などと誉められて、喜んでいるバカ女だった。 

その日、父とその女が旅行なので、友達を呼んで泊まらせることにした。 
二人とも怖い話が大好きで、一緒にパソコンで怖いサイトを見まくっていたが、 
普通の『心霊体験談』では物足りなくなり、呪いの方法やら自殺サイトやら、危ない系のものを見始めた。 

そこで見つけたのが、『嫌いな奴を不幸にする呪いの方法』。(知ってる奴も多いと思う) 
その方法っていうのが、まず夜中に(時間は書いてなかったが)ペットボトルに10円玉を入れ、
嫌いな奴の髪の毛を入れる。 
『○○(嫌いな奴の名前)死ね死ね』と念じながら、ペットボトルの蓋を閉じる。 
それを神社に埋めておけば自然と呪いは起き、呪われた奴は不幸のドン底・・・という内容だった。
なんか幼稚園児が考えそうな呪いの方法だったが、
他の呪いは『ネコの血』だの『ねずみの死骸』だの、入手困難なものが必要だったため、 
とりあえずコレやってみよーよって話になって用意した。 

調度歯ブラシ立てになってるペットボトルを使うことにし、髪の毛は当然あの女の。 
(ベットの枕に何本か長い毛がついているので、それを使った) 
友達は「本当に呪われたらどうすんの」とちょっと心配していたが、 
本当にあんな女死ねばいいと思っていたので、迷わず決行。 
その時、部屋は明るかったのだが、空間が変な感じがした。 

10円玉と女の髪の毛を入れる。 
『どの神様でもいいのであの女を殺してください』と念じながら蓋を閉じる。 
家の裏は神社なので、すぐに埋めに行った。 
効いても効かなくてもザマーミロって感じで、家に帰った。 

しばらくしても呪いの効果は出ず、その女は相変わらず私に意地悪し続けた。 

たぶん、そっから1週間くらいたった日、あの女が包丁で手を切って血を流していた。 
「何見てんのよ!あっち行ってなさいよ!」と怒鳴られたので、
わざと『いい気味』っていうような笑いを見せて、部屋に戻った。 

次の日、あの女は階段から落ちて捻挫した。 

その3日後に、また階段から落ちて、鼻を強打し骨折。 
なかなか呪いが効いてきたではないか、と思った。 

一緒に呪いをやった友達に、「効果が出てきたよ~」と報告すると、友達は静かに口を開いた。 
「ペットボトルに10円は入らないよ・・・」
その時は何言ってんのコイツと思ったが、まさかと思い、
家でもう1度ペットボトルに10円を突っ込んでみると、10円がでかすぎて入らない。 
友人は気づいてからずっと言おうと思ってたらしいのだが、怖くて言い出せなかったらしい。 
なぜあの時はすんなりと入ったのだろう? 
なんか嫌な予感がするので、今から神社に行って掘り返してきます。

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子供の頃、留守番してて、ジュースこぼしてしまった。
それをティッシュで拭いてたら丁度無くなって、何気に空の箱を覗いてみた。
なんと外灯に照らされた夜道が見えた。
風が箱から吹き上げてくるほど強かった。
ためしに4本指を入れてみると、ちゃんと風の感触がした。
なんじゃこりゃおもしれー、と一人はしゃいでいたとき、突っ込んでいた指にべちゃっという感触が走った。
慌てて指を引き抜いた。緑色のスライムみたいなのが手にくっついてた。
謎の物体の中は透けていて、目玉みたいなのもあったような気がする。
情けない声を上げながら洗面所で洗い流した。
もう片方の手でそれを握り潰しながら、30分ぐらい洗い続けた。
洗い終えた後ちょっと落ち着いてきて、
恐る恐るさっきのティッシュの箱を見たが、もう何も見えなかった。
もちろん両親に話したけれど信じてはくれず、でも右手は火傷したみたいに水ぶくれが出来ていた。
包帯をして、もやもやした気持ちを抱えたままその日は寝た。

次の日に学校に行くとき、家の近くの溝で蠢いている物を見つけた。
近付くと、昨日のスライムの欠片のような物。
小さくなっていたが、必死に進もうとしていた。
俺はどうしようか一瞬迷ったが、それを踏み潰した・・・

信じてもらえないのを前提に、唯一経験したオカルトな出来事を書き込んで見ました。
謎の世界と謎の生物。
もしかしたら、俺は地球を救ったのかもしれないww

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高校のときのクラスで、いじめられてる訳じゃないけど、いじられてるAという奴がいた。 
なんというか、よく問題を当てられても答えられなくて、笑われるような感じ。 
でも本人はへらへら笑ってて、特に暗くも無いし、鈍感という言葉が当てはまる奴だった。 
ちなみにAは、喋るとき少しドモり気味で、それも笑いのネタにされていた。 

夏休み前、遊びと称して心霊スポットへ連れて行って脅かしてやろうという、 
工房丸出しの幼稚な考えを思いついた俺達グループは、そいつに声をかけた。 
二つ返事で承諾したA。場所は現地でも有名なダムで、その周辺の探検という事に決まった。 

そして当日。
真夏の夜、Aを含め5人はいたものの、場所が場所だけにやっぱりひんやりとして、ちょっと不安になった。 
それでも、ここまで来たなら行こうという事で、膝の辺りまで茂った草、湿って不安定な地面を進んでいく。
もちろん先頭はA。 
ある一定の所まできたら、4人そろって隠れてやろうという事になっていた。 
(バカ高校の生徒の頭で考える作戦はこれが限界) 

10分くらい彷徨ったとき、廃屋というか、小屋みたいなものを見つけた。 
それを見つけて、ここがタイミングだなと隠れようとしたとき、小屋の入り口付近に白い女が。
もう本当に、イラストとかで見る『髪の長い白いワンピースの女』がいた。 

どう考えてもこんな時間にそんな女がいるのはおかしいから、そいつがこの世のものではないのが一瞬でわかった。 
誰かが「逃げろ!」と叫んだ。俺も走り出そうとした。
ところが、Aが逃げない。
「おい、A!後ろ見てみ!早よ逃げるぞ!」と言っても、きょとんとした顔でAは、 
「ん、んー?なんか、お、おるんかー?」(ドモってるからこんな感じ)
どうやら彼だけ『見えて』ないらしく、きょろきょろしてそこから動こうとしない。 
置いていくわけにも行かず、逃げるに逃げれなくなった俺達。 
女が滑るように近付いてくる。
Aの方向をこれ以上ない恐ろしい笑顔で見ていた。 
こいつを連れて行こう、みたいな、こいつなら気付かずに、みたいな・・・ 
やばい・・・とは思うものの何も出来ない。
とうとう女がAの隣りまで来た。 
「なあんてな。コイツやろ?」 
「え?」 

唐突に、いつもの口調と違うAは、女をはにかんだ笑顔で指差した。 
Aは女の顔に自分の顔を近づけ、面と向かって言い出した。 
「おい、コラ。こんなトコで彷徨う事しか出来んのかお前は。 
 いい加減死んだ事に気付け。このアマ」
ワンピースの女は、もう笑っていなかった。 
明らかに動揺した顔を2、3秒浮かべた後、ふっと消えた。 
Aは最後に、「そのほうがいい」と呟いた。その途端、雨が降りはじめた。 
Aは唖然としていた俺達に向かって、「ん?行こ、行こ」と、いつもの口調に戻っていた。 

俺達はAと本当の友達になった。 

後に、Aにあの時の事を聞いた。 
「んー、ん。あれはな。でき、できんねん。なんかな」 
としか言わなかった。
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幼い頃で記憶が曖昧になっているのもあると思うけど、今でもあの光景は忘れらない。
見間違いだったとは絶対に思えない。 
あの時はただワケが分からず、ただただ怖かっただけだけれど、
後に、俗に言われる『曰く物件』だったことが判明。
そして、個人的にちょっと切ない思い出でもあり、書き出したら長くなってしまいました。
幼い頃ゆえ不明瞭な部分もありますが、ご了承ください。 

たぶん3歳の頃、家が古かったために完全に壊し、同じ土地に再度新築で立て直すことになり、
1年か半年くらい、建築作業の間は借家で暮らす事になった。 
その借家というのは、家を担当する大工(父の友人)が紹介してくれた不動産屋が、
超格安(そう聞いてる)で貸してくれたものらしい。 

祖父、父、母、姉、自分と5人で暮らすには、少々狭くて古めかしい家だったけれど、
特別な不自由はなく、狭いながら楽しく暮らしていた。
が、家に慣れてくると大体の構造が分かってきて、
概観から見ても、どうやら屋根裏部屋があるらしい事が、外から見える小さな窓からもわかった。 

家の中からでも、収納式の階段があるのも分かった。しかし、使用された形跡は無い。 
家財道具を借家の中に納め、使っていないものが入った段ボール箱までひしめき合うため、
非常に家が狭くなっているのに、なんで屋根裏を使わないのだろう?と疑問に思っていた。 
そのことを聞くと皆、
「あの階段は急だから絶対に使っちゃダメ」「屋根裏部屋は掃除してないからいっちゃダメ」
と、口をそろえた様に言う。

そうなると、好奇心旺盛な年頃としては、秘密基地のような感覚でそこに行ってみたくなる。 
ダンボールを何段か重ね、収納された階段を引っ張り出すための紐を伸ばすと、
ぎぃっと大きな音を立てて階段が降りてくる。 
折りたたまれていた階段は綺麗なもので、埃なんかは積もっていなかったので、 
そのまますたすたと上っていき、天窓に手をかけた。 
空けるにつれて、蜘蛛の巣が張っているのなどが見えてくる。
そして、想像以上に薄暗い。 


その時点で躊躇してしまったけれど、
窓のカーテンでも閉まってるんだろう。それを開ければ明るくなる。と思い、そのまま上りきる。 
まず目に入ったのは、埃・埃・埃。すごい厚さ。
思わずうわぁ~と声を上げて見回すと、薄暗い部屋の視界に人影が映る。 
女の子?
髪の長い子で、なにかぬいぐるみで遊んでいるようだ。 
本来ならば、この時点でおかしいことこの上無いのだけれど、
一時とはいえ慣れた土地を離れ、幼馴染たちとも会っておらず友達がいなかったので、ぜひとも声をかけたかった。

埃が舞い上がらないように、静かにその子に近づいていく。 
「ねぇ、なんでこんなところにいるの?」なんて声をかけつつ。
しかし、彼女は答えない。というよりは、聞こえているけれど、反応しないようにしているような感じ。 
その子の隣にしゃがむ。同い年くらいというのが分かった。 
髪の長い子で、ピンクの熊のぬいぐるみの腕を持ち、いろいろなポーズをさせていた。 
「僕この家に住んでるの」「どこから来たの?」「名前は?」
など声をかけるが、反応が無い。 
こうも無視されるとさすがに、感じわる~とか思っていると、
彼女がふと顔を上げてこちらを向き、「私はめぐみ」って紹介をする。 
どきっとする。彼女があまりにも可愛かった。
一目ぼれだったんだろう。たぶんこれが初恋。 

なぜこんなところにいるのかと聞けば、お父さんに怒られて怖いから隠れている、ということらしい。 
それからは、取り止めの無い話をしていたと思う。
でも、彼女を目の前にすっかり舞い上がった為、自分の話しかしていなかったと思う。
それでも、彼女はうなずいたり微笑んだり。

一階の居間にある時計が時間を告げた時に、祖父がそろそろ帰ってくると思い、
天井裏に行ったのがばれるので、彼女に別れをつげ、また来ることを約束し、 
そのまま一階に降りて階段をしまう。
手を振りながら微笑んだ彼女が忘れられない。(思い出なので美化されてる部分もあるでしょうが) 

が、出す時は紐を引っ張ればいいのだけれど、戻すには階段を押し上げる必要があり、
いくらダンボールを積み重ねても、力がない上に必要な身長もないので、戻すことが出来なかった。 
このままでは祖父に怒られると思い、ダンボールだけを片付け、紐をしまい、少し落ちていた埃を片付ける。
そのすぐ後には祖父が帰って来たが、階段が勝手に落ちてきたと説明をした。
何度もしつこく上には行ってないかと聞かれたが、彼女と会えなくなるのが怖かったので嘘をついた。
もちろん彼女の話はしない。 
階段が勝手に落ちてきたということではあぶないので、と頑丈に閉められ、
引き出すための紐は取り外されてしまう。 

その後、自分ひとりの時には、なんども階段を出そうと試行錯誤を繰り返していたが、
それが出来ず、結局は家が完成し、引越しする日が迫ってきてしまう。 

引越しの日、自家用車で借家と家を往復を繰り返して、荷物を運んでいる時に、自分ひとりが家に残ることになった。
特に暇を持て余している時、ふと父の釣竿が目に入る。
伸縮自在で、先っちょには糸を通せる枠が付いてる…
これならばと、その釣竿を使い、階段の紐を縛る部分に引っ掛けようとする。 
引っ越しても会いたい。別の場所でもあいたい。どこに住んでるか知りたい。もう一度彼女に会いたい。
せめてお別れだけでも言いたい。階段を出したことで怒られるのもかまわない。
そんな怒られる時の事なんか頭になかったかもしれない。 
その一心で重たい釣竿を操り、階段を引き出すことが出来た時は、文字通り飛んで跳ねて喜んだ。 

ばたばたと階段を上がり天窓を開ける。かび臭いのも、誇り臭いのも気にならない。
彼女はいないのかと、天窓から顔をだして見回す。 
前の位置には彼女はいなかった。
そのまま首を回していき、ちょうど階段を上って背後にあたる部分に顔を向けた時、なにかがある? 
目の前になにかがあるのが分かった。 

近すぎて一瞬視点が会わなかったが、すぐにそれが女性の顔だと分かった。 
距離にして数センチ。
顔はぱんぱんに腫れ、青く充血目から涙のように、鼻から口から、良く分からない半透明の液体が流れていた。
幼いとはいえ、それが人間ではないと直感し、悲鳴を上げることも逃げることもできず、ただただ恐怖に固まる。 
その女性が愛想笑いのようににやっと微笑むと、
「私の子に近づかないでね…」と、ぼそっとつぶやく。 
「わかったぁ~?」
この「ぁ」のところで、糸を引いて大きく口が開いた時に、前歯が粘液に包まれたまま抜け落ちるのが見えた。 


目が覚めた時には、「目が覚めた」と叫ぶ姉の声が聞こえてきた。 
どうやら、あの後階段からすべり落ち、失禁しつつ白目を向いて気絶していたらしい。
打ち所が悪くてこうなったのだと思い、急いで病院に向かうところだったらしい。
(けが人を動かさずに救急車、という考えはなかったようです)
そのときの話をしても、怖いテレビの見すぎだとか皆いっていたけれど、
目はみんな恐怖していたのを見逃してなかった。
失禁にしても、階段から落ちてからではなく、階段の天窓のあたりから失禁しており、
天井部屋を覗いた時のものであることが分かっていた。 
誰一人天井部屋を覗いた事を咎める事もなく、ただただ「忘れろ」といわれるだけで、
誰にも話してはいけない出来事として封印し、つい2・3年前まで記憶から消えてしまいそうでした。 

父が亡くなり、その後祖父の葬儀にて写真の整理をしていると、借家に引っ越した日の記念写真が出てきた。
それで、ふと幼い頃の思い出がよみがえってくる。 
幼い頃から封印していた記憶なため、あれは夢だったのかもしれないと思ったけれど、
その話をすると姉は、「やっぱりおぼえてたか」と言う。 
家族の間でも、誰にも話しちゃいけない話としてみんなが覚えていたようで、 
父と祖父が本気でお払いを考えていた事などを、面白半分に話していた。 


あの家は、『過去に子供が天井部屋で死に、奥さんがその同じ部屋で首をつって死んだ』という曰く付きの家で、
1階こそなにもないが、『天井部屋は必ずなにかしら起こる』といわれる場所だったそうだ。
家を建てたばかりということで、できるだけ出費を抑えたかった両親は、
何度か一階で泊まったりし、二階以外はまったくなにもないことを確認し、それを承知で借りたそうだ。 

めぐみという彼女のことも気になり、借家の時に世話になった不動産屋に行くと、
暇だったのか、当時の記事をひっぱり出してくれた。
(聞かれたら答えなきゃいけないため、そういう記事はスクラップしているそうです)
それは引っ越す7年ほど前の記事で、
4歳になる子がなにかいたずらをしたのか、父親に殴られ、そのまま天井部屋に閉じ込められたが、
翌朝そろそろいいだろうと様子を見た父親が、死んでいるその子を見つけたというもの。 
そして、さらにその1年後の記事。
その後両親は、その家は引き払っているのだ。
が、その約一年後には、『その母親がその天井裏で首をつって死んでいるのが見つかった』という記事。
当時だれも借家にはおらず、発見が遅れ、見つかった時には腐乱がひどかったそうです。 

最重要視とはいえ容姿だけで惚れるということはなく、これ以後一度も一目ぼれを経験した事が無く、
一目ぼれしたその子はそんなにかわいかったのか、と思うと残念でなりません。 
初恋は実らないって言うけど、こらねぇべ。
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んじゃ、一つ俺の体験談をば。

秋口の頃だったか、俺の勤めてる会社の社長の菩提寺が、建物の一部を修復するとかで、
俺も含めて若い社員が5、6人と、監督役の係長が一人、荷物の運搬を手伝いに行かされたことがあった。
……本来は休日である土曜日に、だw
ご本尊の裏にある位牌やらなんやらを、丁寧に梱包して箱詰めしていたまでは良かったんだが、
なんか妙に気になる物があるのね。
あからさまに額縁入りの絵画なんだけど、布被せてあるのよ。それも複数枚。
黙ってスルーしてれば良かったんだろうけど、やっぱり気になる。
そんでもって住職の息子さんに聞いてみたのよ。
「これ、絵ですか?なんでこんな風にしてあるんです?」って。
そしたら息子さん、カラカラと笑いながら、
「ああ、それは皆『曰くつき』の絵です。だからうちで預かってるんですよ」って事も無げに言う。
「……あー……ははは、そうですかー」
聞かなきゃ良かったなあ、とプチ後悔しながら作業に戻って、やがて夕暮れになった。

会社の大型ワゴン車二台分くらいのダンボール荷物を乗せたまま山道(田舎の高所にある寺だったので)を下って、
その途中道の駅で食事をすることになった。
食事しながら係長に「そういやあの荷物どこに下ろすんですか?」と聞くと、「会社の倉庫」だと。
……えー。なんか怖いじゃん。やだなあ、位牌まみれの倉庫で在庫調べるのは。
まあ、んなこと言っても仕方が無いので、会社に戻ってから倉庫の一角に荷物下ろして、
それじゃあお疲れ様、という運びになったんだけどね。

ホントに嫌だったのはその翌々日。つまり月曜の夕方。
うちで注文した資材が入荷したんで、倉庫に運んだんだけどさ。
……例の位牌ダンボール箱のひとつが蓋開いてる。
そればかりか、なんか見覚えのある布の被った絵が、そのダンボールに立てかけてある。
うわマジで洒落にならん、と思ったけど『気になる』なんて生易しいもんじゃないから、一応確認してみようと思った。
布をそーっと捲って見てみると、女の人の肖像画だった。
肩口から上がモナリザみたいな構図で描いてある絵。
……ただ、まあ、さすがだね。寺で預かるだけのことはあるね。
ひとごろしみたいな目がこっち睨んでて、唇の端がきゅーっと笑いの形に吊り上ってる。
十人に聞いたら十人が「気持ち悪い」と言うであろう表情。描いたやつの気が知れない、というレベルの。
速攻で倉庫を出て、係長に進言した。「持ってきたはずの無い絵がある」って。
ちょっとした騒ぎになった。
すぐにその時の面子が倉庫に集められて、「これ、誰が持ち込んだんだ」と質問。
そしたら隣の部署の新人が手を挙げるわけだ。最早、彼以外の全員が「????」状態。
だってそんなもの運べなんて誰も指示してない。なんでそんなことしたのか。
新人「……良く覚えてないんですけど、俺が(ダンボールに)入れたような気がします」
係長「気がした、ってのはどういうことだ」
新人「すみません、良く覚えてないんです」
係長「………」
俺 「土曜日、ここに運んだ時は箱には封がしてあっただろ。開けたのは誰なんだ?」
新人「あ、それも僕です」
俺 「……なんで?今日あの寺から荷物の問い合わせでもあったの?」
新人「いえ……昨日、ぶらっと会社に来てこの絵を見てたから……」
係長・俺・その他「……………っ!」 

つまりそいつは、わざわざ嫌な絵を運んできたばかりか、日曜日に会社に来てその絵を眺めていたらしい。
休日で誰もいない会社の倉庫で、一人で。
しかも彼は自分がそういう行動をとったのは覚えているのに、
「何故そんなことをしたのか」がどうしても思い出せない、とのこと。
この時点で俺は鳥肌立ちまくり、係長も「こりゃヤバい」と判断したらしく、すぐ寺に連絡した。

後で聞いたら、電話の向こうで住職の息子さんがこんなこと言ってたらしい。
『ああ、付いていっちゃいましたか。その人を怒らないであげてください。悪いのはその絵ですから』

……手伝いメンバー全員が寺に持っていくことを拒否したため、返却は運送屋さんに任せました。
泣く泣く再梱包したのはその新人だったがw

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うちの姉が以前、すごいアンティーク着物に凝ってた。 
それこそ、箪笥と行李を新しく買うぐらいに。 
確かに見ていて綺麗だなーとは思うが、当時リア厨だった俺には、何でそこまで買い漁るのかがさっぱりだった。 

そんな一昨年のゴールデンウィーク頃、姉が京都にデートに行った帰りに、
昭和初期くらいの訪問着(と言ってた)を持って帰ってきた。 
鶯色で梅とか松とか、おめでたそうな柄だった。 
姉は「彼氏が選んでくれた~vv」と、姿見の前で羽織って大騒ぎ。 
母と祖母も二人で「綺麗やわ~」とか、「ええ物やわ~」と大騒ぎ。 
俺はというと、和室で親父とごろ寝しながら騒ぎを聞いていたんだが、
いきなり姉母祖母が押し寄せてきて、親父ともども追い出された。 
どうやら衣文掛け?に飾るらしい。 
俺はふてくされて自室で寝た。 

目が覚めると、既に午後10時くらいだった。 
「うわー晩飯食い損ねたー」とドアを開けると、なぜか家中シーンとしている。 
階段を下りると、まず食卓に母と祖母がいた。 
緊張した顔で、和室の方を見ている二人。
俺を見ると、厳しい顔で手招きする祖母。なぜか手には肉切包丁。
さらに、母の手にはすりこぎ。


ええええ!?と思った瞬間、和室の方から、
ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ!! 
と、摩擦音のような音がした。
さらに緊張する祖母と母。 
「手伝ってきてくれ、おまんは力あるから!!うちは○○(←聞き取れなかった)持ってくる!!」 
内心チビリそうになりながら、そっと戸に手をかける俺に、祖母が握らせたのは『出刃包丁』。
覚悟を決めて一気に引き戸を開けると、目の前には父と祖父が身構えて立っていた。 
部屋の真ん中には、手と足の生えた、緑色の布の塊。
それが部屋の真ん中で、ぐるぐる回っている。
多分、あれは姉だ。
しかし、見えている手がおかしい。二対ある。 
手が震えて、何も出来なさそうな俺をみて、祖父が父に言った。 
「ええか、先におまんが押さえ。俺が着物剥ぐ」 
「ん。いくで」 
回っているものに飛び掛る父。しかし相当強いらしく、引きずられてしまう。 
出てる手に引っ掻かれまくる父を見て、はっとわれに返って俺も飛び掛り、何とか動きを鈍らせる。 
祖父がそのスキに、そいつの着物を引っぺがした。 


やはり中味は姉だった。 
しかし、着物をはがしても治まる様子が見えず、父に噛み付き、犬のように首を打ち振る姉。
父の血が当たりに飛び散る。 
もう手が痺れてきて、「あ、だめだ」と思った瞬間、
ガラガラガラッと大きな音を立てて戸を開け、祖母が突進! 
薄茶色い液体を着物にぶっ掛けた。 
やっと父から口を離した姉を、母が布団でくるみ、上から縄で縛り、納戸の中に押し込んで鍵をかけた。 

その翌日、庭で着物を燃やした。
満身創痍の父と俺と祖父の三人は、その灰をたっぷりかけられた。 
姉は克明に出来事を覚えているらしいが、どうしても話してくれなかった。 
母と祖母の持ち出した液体も、灰をかけられたことも、あの着物のことも、未だに俺には分からないままだ。 




あと、後日談にも満たないことだけど書いておく。 
着物ってのは、『同じもの』は世界に一枚、または極少数しか存在しないと思ってる奴が多い。 
実際、アンティークなどの昔の着物は、そういうことが多い。 
戦争による焼失や経年劣化、使用したための痛みなどで、年月とともに『同じ』着物は減っていく。 
だが、1や0に必ずなるとは限らない。
特に人気だった柄の着物などは、田舎では戦火を逃れて、いろんな地方に残っていたりする。 

俺の進学したのは、実家から遠く離れた地方都市だった。 
大学ではクラブやサークルの勧誘が連日続き、部活の公開見学会なども行われていた。 
俺はそこで再会してしまった。
こげ茶色の髪の毛をアップにして、慣れた手つきで茶をたてていた若い女性の着物。 
あれは間違いなく、俺の祖母が燃やしたものと同じものだった。 
あの化け物は『あの』着物に憑いていただろうから、大丈夫だとは思うのだけど、未だに不安は拭い去れない。 

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普段付き合いのいい同僚が、何故か海へ行くのだけは頑として断る。 
訳を聞いたのだが余り話したくない様子なので、飲ませて無理やり聞き出した。 
ここからは彼の語り。ただし、酔って取り留めのない話だったので、俺が整理してる。 

まだ学生だった頃、友人と旅に出た。たしか後期試験の後だったから、真冬だな。 
旅とは言っても、友人の愛犬と一緒にバンに乗って、当てもなく走っていくだけの気楽なもんだ。 

何日目だったか、ある海辺の寒村に差し掛かったころ、既に日は暮れてしまっていた。 
山が海に迫って、その合間にかろうじてへばり付いている様な小さな集落だ。 
困ったことに、ガソリンの残量が心もとなくなっていた。
海岸沿いの一本道を走りながらGSを探すと、すぐに見つかったのだが、店はすでに閉まっている。 
とりあえず裏手に回ってみた。 
玄関の庇から、大きな笊がぶら下がっている。 
出入りに邪魔だな、と思いながらそれを掻き分けて呼び鈴を鳴らしてみた。 
「すんませーん。ガソリン入れてもらえませんかー?」 
わずかに人の気配がしたが、返事はない。 
「シカトされとんのかね」 
「なんかムカつくわ。もう一度押してみいや」 
「すんませーん!」 
しつこく呼びかけると玄関の灯りが点き、ガラス戸の向こうに人影が現れた。 
「誰や?」
「ガソリン欲しいん…」 
「今日は休みや」
オレが言い終える前に、苛立ったような声が返ってくる。 
「いや、まぁそこを何とか…」
「あかん。今日はもう開けられん」 
取り付く島もなかった。諦めて車に戻る。

「これだから田舎はアカン」 
「しゃーないな。今日はここで寝よ。当てつけに明日の朝一でガス入れてこうや」 
車を止められそうな所を探して集落をウロウロすると、
GSだけでなく、全ての商店や民家が門を閉ざしていることに気付いた。 
よく見ると、どの家も軒先に籠や笊をぶら下げている。 

「なんかの祭やろか?」 
「それにしちゃ静かやな」 
「風が強くてたまらん。お、あそこに止められんで」 
そこは、山腹の小さな神社から海に向かって真っ直ぐに伸びる石段の根元だった。 
小さな駐車場だが、垣根があって海風がしのげそうだ。 
鳥居の陰に車を止めると、辺りはもう真っ暗でやることもない。 
オレたちはブツブツ言いながら、運転席で毛布に包まって眠りについた。 

何時間経ったのか、犬の唸り声で目を覚ましたオレは、辺りの強烈な生臭さに気付いた。 
犬は海の方に向かって牙を剥き出して、唸り続けている。 
普段は大人しい奴なのだが、いくら宥めても一向に落ち着こうとしない。 
友人も起き出して、闇の先に目を凝らした。 
月明りに照らされた海は、先ほどまでとは違って、気味が悪いくらい凪いでいた。 
コンクリートの殺風景な岸壁の縁に、蠢くものが見える。 
「なんや、アレ」
友人が掠れた声で囁いた。 
「わからん」
それは最初、海から這い出してくる太いパイプか丸太のように見えた。 
蛇のようにのたうちながら、ゆっくりと陸に上がっているようだったが、不思議なことに音はしなかった。 
と言うより、そいつの体はモワモワとした黒い煙の塊のように見えたし、実体があったのかどうかも分からない。 
その代わり、ウウ…というか、ウォォ…というか、形容し難い耳鳴りがずっと続いていた。
そして先ほどからの生臭さは、吐き気を催すほどに酷くなっていた。 
そいつの先端は海岸沿いの道を横切って、向かいの家にまで到達しているのだが、
もう一方はまだ海の中に消えている。 
民家の軒先を覗き込むようにしているその先端には、はっきりとは見えなかったが、
明らかに顔のようなものがあった。 
オレも友人も、そんなに臆病な方ではなかったつもりだが、
そいつの姿は、もう何と言うか『禍々しい』という言葉そのもので、
一目見たときから体が強張って動かなかった。
心臓を鷲掴みにされるってのは、ああいう感覚なんだろうな。 

そいつは、軒に吊るした笊をジッと見つめている風だったが、やがてゆっくりと動き出して次の家へ向かった。 
「おい、車出せっ」 
友人の震える声で、ハッと我に返った。 

動かない腕を何とか上げてキーを回すと、静まり返った周囲にエンジン音が鳴り響いた。 
そいつがゆっくりとこちらを振り向きかける。 
(ヤバイっ) 
何だか分からないが、目を合わせちゃいけない、と直感的に思った。 
前だけを見つめ、アクセルを思い切り踏み込んで車を急発進させる。 
後部座席で狂ったように吠え始めた犬が、「ヒュッ…」と喘息のような声を上げてドサリと倒れる気配がした。 
「太郎っ!」 
思わず振り返った友人が、「ひぃっ」と息を呑んだまま固まった。 
「阿呆っ!振り向くなっ!」
オレはもう無我夢中で、友人の肩を掴んで前方に引き戻した。 
向き直った友人の顔はくしゃくしゃに引き攣って、目の焦点が完全に飛んでいた。 
恥ずかしい話だが、オレは得体の知れない恐怖に泣き叫びながら、アクセルを踏み続けた。 

それから、もと来た道をガス欠になるまで走り続けて峠を越えると、まんじりともせずに朝を迎えたのだが、
友人は殆ど意識が混濁したまま近くの病院に入院し、一週間ほど高熱で寝込んだ。 
回復した後も、その事について触れると、激しく情緒不安定になってしまうので、
振り返った彼が何を見たのか聞けず終いのまま。
卒業してからは疎遠になってしまった。 
犬の方は、激しく錯乱して誰彼かまわず咬みつくと思うと、泡を吹いて倒れる繰り返しで、
可哀そうだが安楽死させたらしい。 
結局アレが何だったのかは分からないし、知りたくもないね。 
ともかく、オレは海には近づかないよ。 

以上が同僚の話。 
昔読んだ柳田國男に、笊や目籠を魔除けに使う風習と、海を見ることを忌む日の話があったのを思い出したが、
今手元にないので比較できない。
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自分の身に起こった、今でも信じられない実話です。 

まだ僕が中学3年だった頃。
僕の家は、父親と母親と弟(まだ小学校低学年)の4人家族でした。 
紅白歌合戦を見終わって、いい初夢でも見るかな…ってな具合で寝たのはよかったんですが、 
真夜中に悪夢(見た夢の内容は思い出せない)を見て、突然真夜中に起きました。 
心臓は音が聞こえるほど激しく脈打っていて、脂汗を全身にじんわりかき、 
まるで冷や水を背中から流されたかのように、布団からがばっと起きた体勢のまま硬直してました。 
「新年早々に悪夢かよ…最悪」とか思いながら、また寝れるわけもなく、 
カラカラに渇いたのどを潤すために、冷蔵庫のあるリビングに行くと、
真夜中なのに(時計は見てないけど、たぶん深夜2時頃)家族全員が抱き合った格好でテレビの前に座っていました。
テレビは付けっぱなしで、深夜なので番組がやっていないのにもかかわらず、
ニュース番組(これも記憶が曖昧)の画面が映っていました。しかも無声で…。
それに窓という窓が全部開けっ放しになっていて、外と変わらないほど寒いんです。
明らかに様子が変でした。ぞっとする寒気を感じました。 
「何やってんだよ!!頭おかしいんじゃねぇの??」と震えながらだが、半ばキレたように怒鳴ると、
弟は「だって…ぁ…(声が小さくて聞き取れない)」と言うと泣き出してしまい、
それを見た両親は、終始無言&無表情で窓を全部閉めて、テレビを消し、
うずくまって泣いている弟に「もう寝なさい」ってな感じで、寝室に連れて行きました。

新年早々、気味が悪すぎる出来事に遭遇しまくって寝る気が起きないので、 
その日は自分の部屋で、漫画を読みながら朝を迎えました。

朝になって、両親に「昨日、真夜中に何やってたんだよ??」と聞くと、両親は「はぁ?」ってな具合。
昨日の喜怒哀楽のない顔と、今の怪訝そうに俺を疑う表情のギャップで、俺は「幽霊ってやつか??」とかなりパニくった。

まあ、そんな話を友達にしても疑われるだけだし、12月に彼女に振られたのもあって、
きっと精神的な疲れから幻覚を見たんだろう…ってな感じに処理しました。 

それからしばらくして、また真夜中に悪夢で目が覚めました。
今度は微妙に内容を覚えていて、見知らぬ人に後頭部を殴られる夢です。
なぜか起きても、ジンジンとつむじ辺りが痛いんです。
そして、なぜか「コンビニなら安全…」とか意味不明なことを考えてました。 
頭の中は「幽霊に襲われた」って考えが支配してて、パニクってリビングに逃げました。
しかし誰もいないし、なんか夕食の焼肉のせいか、焦げたにおいが浮遊している。
しかも、新年早々にリビングであった奇怪な出来事を思い出し、またもや眠れぬ夜を過ごしました。 

そして2月の初め頃になると、体が異常に痒くなってきました。 
最初は単なる乾燥肌と思ってましたが、
背中と頭が特に焼けるような感覚を覚え、ボリボリ掻きむしっていました。

痒みは一向に良くならず、皮膚科に行って塗り薬をもらい、
風呂上りに薬を塗ろうとすると、弟が「塗らせて」と懇願するので背中を突き出してやると、
何を思ったかバチーンと背中に張り手をくらわしたので、
痛さのあまり「ふざけんな!!」ってな感じで怒りました。
俺の怒鳴り声で必ず泣く弟なので、見る見るうちに目に涙をためて、
あぁ…泣くぞ泣くぞと思ってると、声も立てずに涙をポロポロ流します。 
変なことに、どんどん顔は色味を失ったような感じになって、
ついには、無表情で涙を流すだけ、といった感じでした…。 


めっちゃ気持ち悪くて、両親のほうを見たら、これまた両親も無表情で涙を流してます。
もう完全に放心状態…。
よく見ると口元が微妙に動いているのですが、何を言っているのか分かりません。
「ぁ……ぃ」
聞き取れてこの程度でした。 

その瞬間、自分の周りの景色が真っ赤になり、徐々に色あせてセピア色になって、
意識が…なくなる…と思ったら、いきなり周りの景色が一変してました。 
どっかで見覚えあるような…と思ったら、従兄弟の家でした。 
深刻そうに叔父が俺の顔を見ています。 
「え…何でここにいんの??」
全然事態が飲み込めません。 

そのうちぞろぞろと、周りの人たちが集まってきました。 
最初は「今までのは全部夢だったのか??」と自分で推測してましたが、
叔父の家にいる経緯が全く分からないし、なぜか祖父母もいるし、あちこち包帯だらけで、完全にパニック…。 
「記憶がないなら、ないほうがいいんじゃないか?」とか祖父が言ってたのですが、叔父は、
「こいつには、何があったか話しておかんとならん。
 まだ犯人も捕まってないし、1週間後にまた警察の人が来るだろう」
ってな具合で、叔父から全貌を聞いた。 

僕の家は、1月1日に何者かの放火にあって全焼したようです。 
僕はたまたまコンビニに行っていたので、助かったみたいなんですが、
犯人と思われる人を見たために、後頭部を殴られ、全身をバットかなんかでめったうちにされて、
記憶を失ってしまったそうです。 
搬送先の病院でずっと生死をさまよった後、回復してから叔父の家に引き取られたそうです。
そして今は3月…2ヶ月も記憶を失ったままリハビリを続け、たった今、記憶が戻ったとのことでした。


僕は号泣しました…。
いっぺんに大切なものを失ったのを、2ヶ月も過ぎてから分かり、
ただただ泣きじゃくる顔を、祖父母と叔父に見られていました。 
叔父は黙って目を反らしていましたが、祖父母たちももらい泣きして、わんわん泣き続けていました。 
体中には青あざが無数にあり、包帯がミイラのごとく巻いてあり、節々が曲げるためにチリリとした痛みが走りました。 

なぜか真冬の真夜中に、全部の窓が開いてあったこと、
無表情で固まりあう家族、 
見知らぬ男に殴られる悪夢、
突然真っ赤になった景色…
まるでジグソーパズルのように、謎がピシピシとはまっていきました…。 
結局、犯人は未だに捕まっていません。
そして、背中の包帯を取ったときに、僕の青あざが残る背中には、弟の手のひら状に無傷だった跡がありました。 
事件から5年経ち、あざが消えるのと共に、その手のひらの跡も消えてしまいした…。 

長々と下手な長文すみません。僕にとっては忘れられない事件です。 
話自体は怖くないと思いますが、犯人が未だに捕まっていないことを考えると、僕はそっちのほうが恐ろしいです。 
読んでくれた方、ありがとうございました。 

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これは俺と両親の体験談。 
でも当時3歳だった俺は当然覚えてなくて、両親から聞いた。 

俺の父は骨董商をやっている。 
絵から古道具、茶道具、なんだかよくわからないガラクタ?みたいなものまで、
色んなものを取り扱ってるんだけども・・・ 

ある日、父は市(業者同士の販売会みたいなもの)で、ある人形に目を引かれた。 
それは、陶器で出来た西洋人形だった。 
相当古いものであるのは、ぱっと見でもわかったらしい。 
全体的にくすんだ色になったそれを、なぜだか父は一目で気に入り、買い取ってしまった。 
当人曰く、「売る気はなく、家に飾るつもりだった」と言う。

・・・しかし、それを家に持って帰って母と一緒に眺めたとき、父はそれを購入したことを後悔した。 
見た目が余りに無残だったのだ。
肌の表面はひび割れ、髪は半ば抜け落ち、
ガラス製の目玉が一つ内部に落ち込み、カラカラと音を立てている・・・ 
「気味が悪い・・・」
母の一言が全てを表していた。 
結局その人形は一度も我が家に飾られることはなく、
ベランダの物置棚の奥に、新聞紙にくるまれて放り込まれることになった。 

その夜のこと。 
母は俺(当時3歳)がうなされているのに気づいて目を覚ました。 
幼時はわりと引きつけなどを起こしやすい質だったので、もしかして・・・と思ったらしい。 
身を起こして息子の方へ近づこうとして、彼女は息子の様子が少しおかしいことに気がついた。 
彼は、目を開けていた。
(うわごとじゃなかったの?) 
しかし、息子は未だにぶつぶつと何かつぶやきつづけている。 
「T(俺の名)くん、どうしたの?」 
声をかけても反応しない。 
ただ、ぶつぶつとつぶやきつづけるだけ。
「Tくん!Tくん!!しっかりしなさい!!」 
怖くなった母は、息子の名を強く呼び体をゆすった。 
そうして、ようやく彼は母の存在に気づいたようだった。 
「どうしたの?何を言っていたの?」 
まだすこし虚ろな表情の息子に、彼女は語りかけた。 
息子はしばしの沈黙のあと、ベランダを指差しこう答えた。 
「おめめがひとつの人形が来たの。あっちから」 
彼女は、言葉を失った。 
息子はあの人形のことは知らないはずだった。 
嫌な汗が流れてくるのを感じながら、彼女は息子に尋ねた。 
「お人形が来て、それでどうしたの?」 
「あのね・・・」 

要約すると、何やら色々と話をしたのだという。
が、その内容が3歳児の語ることなので全く要領を得ず、時間の経過もあって記憶が曖昧になっているそうだ。 
だが最後に一つだけ、これだけはっきり覚えているものがる。
「だれにも話してはいけない話をした」 
俺は、たしかにそう言ったらしい。 
母がどれだけ聞いても、その内容だけは決して教えなかったそうだ。 
「人に話してはいけない。話してはいけない。話したら・・・」 
最後にそう言って、そのままこてんと眠ってしまった。 
翌日、母はそのことを父に話したが、彼はなぜかそのことを知っていた。 
俺がつぶやいていたことが、人形のことであるのに気づいて、布団の中で震えていたらしい・・・ 

結局、人形は捨てられることになった。 
ビニール袋に入れ、父がゴミ捨て場に持って行こうとしたのだが、
急にずしりとした重量感を感じて、袋を落としてしまった。 
人形はただ落ちただけで、なぜこれほど?と思うほどに粉々になってしまったらしい。 
父曰く「物に惹かれるということは、たまに理屈ぬきでこういうことがあるもんだ」と。 

・・・結局、俺が話した『人に話してはいけない話』はなんだったのだろうかと、今でも気になっている。
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小学校の時、担任の先生から聞いた話。 
簡潔に言えば、いわゆる『狐憑き』体験記なんだけど。 

その先生(以後K先生)が大学生の頃の夏休み。 
暇を持て余しているK先生(男)と、その友人O(男)と友人A(女)と3人で、 
「K県K市のとある稲荷神社に胆だめしに行こうぜ!」って事になったらしい。 

で、夜遅く、3人で神社内をぐるりと回ったけど、何も起こらない。 
だが、その内に紅一点のAが、「もう帰ろうよ」って言い出したと。 
男2人も、怖くは無かったがAの不安げな様子が気になって、帰る事にしたそうだ。 

しかし、出口の鳥居に向かうにつれ、Aの顔色がどんどん悪くなっていく。 
「大丈夫か?」と心配しながら、Aを支えて歩く男ふたり。 
出口の鳥居をくぐろうとした瞬間、Aはとうとうしゃがみこんでしまった。 
で、下向いて「寒い寒い」って言いながら、自分の肩をさすってる。 
冒頭で言った通り、夏休み。当然ながら寒いわけがない。なんか変だ。 
起こそうとしても立ち上がらないし、K先生とOは困り果ててしまったそうだ。 
その内にAが、「寒い寒い寒い寒い寒い寒い」ってすごい早口で言いながら、 
ノースリーブの肩をさすっている手が、どんどんスピード上げていく。 
しかも爪立ててボリボリボリボリ掻き毟ってる状態だから、二の腕から血が出てきた。

あまりにその様子が怪しいから、さすがにK先生とOも怖くなって、
無理やり半ば引きずるようにしてAを家まで送り、その日は解散したんだと。 

それから数日、連絡も取らず、(携帯とかも普及してなかったし。てか無かった?) 
その事も殆ど忘れてマターリ夏休みしていたK先生の所に、Oから連絡があった。 
『Aがおかしくなったらしい』
( ゚Д゚)ハァ?確かにあの時の様子はおかしかったけど、マジで? 

ちょいと責任を感じた男ふたりは、Aの家へとお見舞いに行ったそうだ。 
Aには会えず、Aの母親が憔悴した感じで出てきて、様子を教えてくれた。 
なんか、Aはひたすら「キィィーーー」みたいな奇声を発しながら、暴れまくってるらしい。 
部屋から出せず、食べ物を持っていっても壁に投げつけちゃうし、 
それだけじゃなく、女の子なのに糞尿垂れ流しして、それを壁になすりつけてるそうだ。 
(ここに関しては、後から聞いたらしいんだけど。そりゃそうか…) 

K先生とOはメチャクチャ怖くなって、でも胆だめしに連れてった事は言えなかったみたい。 
酷い話だと思うけど、よく考えりゃある意味責任問題になりそうだしね。 
まぁどうしようもなくて、その日は帰った。

悩みは募りながら、数日経ったある日、K先生の所にOから電話。Aの母親からOに連絡があったらしい。 
今度は何だと思って聞いてみると、
『Aが部屋から抜け出して行方不明』
ちょっとどころじゃなくマズイ。慌てて2人も探しに出たそうだ。 

まぁ色々あって、結局見つけたのはK先生。 
Aは最寄りの駅の駅員さんに、駅員の事務所に保護されてたんだけど。 
駅員さんが真っ青な顔して、「なんなんですかこの人?」みたいになってるから、 
あーやっぱり暴れたのか、と思って話を聞こうとすると、
駅員さんは怯えた感じで、1枚の紙をK先生に渡したそうだ。 
それには、狐が上半身を上げて、手で招いてるみたいなポーズの絵が描いてあった。 
白い紙に、グルグルって感じで塗りつぶした、影みたいな真っ黒い狐。明らかに狐。 
(お稲荷さんみたいなポーズって言えばわかるかな?)

驚愕しながら「これどうしたんですか?」って聞くと、
駅員さんが言うには、彼女の身元が分からなかったから、質問したが全然返事もしない。 
じゃあ文字なら書けるかと思って、ボールペンと紙を渡したそうだ。 
そしたら、椅子に座ったままいきなりガクンッ!!って頭を垂直に真上に向けて、
(もう完全に真上。90度。駅員さんも仰天したらしい) 
ボールペンを鉛筆持ちじゃなくて、幼児がスプーン握るみたいに5本の指で握って、 
天井睨みつけながら、紙の上をボールペンでぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる……。 
当然、グチャグチャな絵が出来るだろうと思って、駅員さんが呆然としてたら、出来たのはこの狐の絵だったと。 

K先生も駅員さんも完全にびびっちゃって、
まあ警察とか色々あった後にAは自宅に帰り、可哀相だけどまた監禁状態にするしかなかったそう。 
K先生もOも、軽々しくAの話ができる雰囲気もすっかり無くなったって。 

で、また数日後なんだが。 
真夜中、K先生の1人暮らししてる家に電話があった。 
こんな時間に電話してくるのはOくらいだって思って電話を取ると、声はなんとA。 
『もしもし、K?』
奇声とかじゃなくて、普通の声で話しかけてくる。 
「A、治ったのか!!良かったなー!!」
大喜びするK先生。 
Aは嬉しそうに同意しながら言葉を続けたそうだ。 
『うん。私の所からはもう出ていくって。次は、Kのところにいくよ』
ガチャ。 

反論も質問も受け付ける暇一切無く、電話は切られたらしい。
もうK先生めっちゃめちゃビビりまくって、
泣きそうになりながら、隣町で1人暮らししてる弟の所にバイクで転がり込んで、
震えながら一晩過ごしたそうだ。 

普通の話なら、ここで狐はK先生の所に行くんだろうけど、結局その後はなーんも起こらず。 
Aもいつの間にか普通の子に戻ってて、( ゚д゚)ポカーンだったそうだ。 
でも、ぶっちゃけ怖くて、もうAとは遊んだり出来なかったらしい。 
「いまだに年賀状だけは送ってるけど」とか言ってた。
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今までの人生で一番身近で起こった怖いこと。 

大学の時、サークルにT先輩とM美先輩というカップルがいた。 
M美先輩は小柄で結構可愛い顔をしてた。 
でも顔を隠すように髪を伸ばして、服装も地味で、いかにも情緒不安定ってかんじの言動を取る人だった。
メンヘル気味で通院してたらしい。 
T先輩は常にM美先輩を気遣ってていい人だった。 

俺はそのサークルには、そのうちあまり顔を出さなくなったんだけど、
T先輩もM美先輩も、いつのまにかやめちゃったらしい。 
それもどうやら、大学自体やめてしまったみたいだと聞いた。 

ここからは完全な聞き書きなんだけど、
M美先輩はどんどん不安定になって行って、T先輩もさすがに面倒見きれないと周囲にこぼすようになったようだ。 
その後、冬のある夜に、T先輩のアパートで喧嘩になって、
「あまりにもウザいから叩き出した。もう別れる」と言っていたそう。 
その後、M美先輩の姿を見た人はいない。 

T先輩は徐々に様子がおかしくなっていった。 
「口の中に髪の毛が入っている。気持ち悪い」と言って、やたらに唾を吐きまくった。 
「飯が食えない。髪の毛が絡んで噛めない」と言って見る間に痩せた。 

友達を家に上げなくなった。
一度終電逃して無理に押しかけた人がいたが、T先輩はずっとそわそわして、話しかけても上の空だったらしい。 
前に訪ねた時にあった、テレビ、パソコン、姿見が無くなっていた。
洗面所の鏡がガムテープをべたべた貼って、見られないようにしてあった。 
そしてしばらくして、T先輩はアパートを引き払って、どこかに行ってしまった。 
実家に帰ったんじゃないかとも言われてたが、定かじゃない。 
メンヘル移されたんだろうか気の毒に、と思ってたんだけど。

その後、別の先輩に聞いた話。 
彼がT先輩と話しながらジュースを飲んでいた時、
T先輩が不愉快そうに、口から長い髪を2、3本引っ張り出して捨てたという。
ふたりとも短髪なのに、なんだそれ、気持ち悪いなーと思ったらしい。 
「ジュースに入ってたの?」と聞いたら、すごい勢いで睨まれたって。 

全部聞き書きで不確かだけど、実際によく知ってた人がふたりいなくなったので、
大学時代の俺にはとてつもなくリアルで恐ろしかった話。
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