怖い話らぼ −怪談・都市伝説まとめ−

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タグ:定番の怖い話


ある病院に、残り三ヶ月の命と診断されている女の子がいました。
友達が二人お見舞いに来た時に、その子のお母さんは、
まだその子の体がベットの上で起こせるうちに、最後に写真を撮ろうと思い、
病気の子を真ん中にして、三人の写真を撮りました。
結局、それから一週間ほどで急に容体が悪くなり、三ヶ月ともたずにその子は亡くなってしまいました。

 葬式も終わり、多少落ち着きを取り戻したお母さんは、
ある日、病院で撮った写真の事を思い出しました。
それを現像に出し、取りにいって見てみると、その写真が見つかりません。
写真屋さんに聞いてみると、「いや、現像に失敗して・・・」と言うそうです。
不審に思ったお母さんは、娘の生前の最後の写真だからと、しつこく写真屋さんに迫ったそうです。
写真屋さんもしぶしぶ写真を取り出し、
「見ない方がいいと思いますけれど、驚かないで下さいね」と、写真を見せてくれました。
そこには三人の女の子が写ってましたが、
真ん中の亡くなった女の子だけが、ミイラのような状態で写っていたそうです。
それを見たお母さんはとても驚きましたが、供養してもらうと言い、写真を持ち帰りました。

それにしても恐ろしい写真だったため、霊能者のところに供養してもらう時に、
これは何かを暗示してしているのではないか、と尋ねました。
すると、霊能者は言いたがりません。
やはり無理に頼み込んで、話を聞ける事になりました。
その霊能者が言うには、
 
「残念ですが、あなたの娘さんは地獄に落ちました」


引用元: 死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?3

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これは、警備員のバイトをしていた時に職場の先輩から聞いた話です。 
都内Sデパートが縦に長い建物である事は先程述べましたが、
当然、一人で受け持つ巡回経路は複雑で長いものです。
新人である私が覚えきれているはずもなく、最初の内は先輩と共に異常確認を行います。 
EVボックスの位置や火元確認場所、シャッターボックスの位置など、その際に念入りに引き継がれ、
その後に一人で回るようになります。 

そのフロアは婦人服売り場がメインの場所でした。 
先輩と2人で回っていると、丁度建物の中程の非常階段付近の防火シャッターの前で、おもむろに上を指差して言いました。
「この警報死んでいるから」
そう聞いても、その時の私には『故障かな?』位にしか気にとめなかったのです。 
警報には幾つか在りますが、火災報知気(いわゆる煙感)と赤外線の2種類がそのデパートでは主流でした。 
赤外線は天井張り付いた白濁の半球状のもので、注意してみれば今でも何処のデパートでも見られると思います。
 
「でも、ドア警は生きているんでしょう?」と私が尋ねると、「あたりまえだ」と先輩は答えました。
非常階段付近には大抵お手洗いがあります。 
警備巡回時には、不審者が一番潜んでいやすい場所ですので勿論中を調べます。
婦人服売り場だけあって女子トイレしかなく、個室内に人影がないかどうか確認します。 
私達は用具入れを含めて通り一遍確認を行い、その場所を後にしました。 
私はその時から先輩の顔色が悪い事に気が付きませんでした。

待機室に戻ったのは深夜3時を少しまわった頃でした。 
引継ぎ巡回のため遅くなり、他の皆は仮眠室に行っているようで、私達2人しか残っていませんでした。 
先輩は椅子に腰掛けるなり、私にぽつぽつと話し始めました。 
「あのさあ、さっきの警報…なんで殺していると思う?故障しているわけじゃないんだ」 
私は『何を言いたいんだこの人は?』と思いつつ、大人しく「さあ」とだけ答えて、先輩の話を促しました。 
「ほんというとさ、俺、あそこの女子便所、あんなに丁寧に見回ったの初めてなんだ。
 あそこの便所さ、用具入れの、ほらモップを洗う深くてでっかい洗面器あるだろ、
 あそこに以前、子供が捨てられていたんだ」

何でも、ある若い女性が気分が少し悪くなったので、トイレに駆け込んで用を足したそうです。
そうすると便器には、かろうじて人の形をした赤ん坊があったそうです。 
その女性は自分が妊娠していた事など全く気が付いておらず、
『最近遅れているなあ、シンナーのせいかな、楽でいいや』位にしか思っていなかったそうで、
それを見たときは、どうしていいか分らなかったそうです。 
その赤ん坊…と言っていいかどうか分らないほどの未熟児は、既に赤黒く変死していました。
そのために流産したのでしょう。 
女性は流れ出た胎盤と一緒に流してしまおうかとも考えたそうですが、
見つかったら誰かが埋葬してくれるのでは、という期待から、
用具室の洗面器にそれをすくい移し、逃げるようにSデパートを後にしたそうです。


すぐにそれは発見されました。第一発見者は清掃業者のおばさんでした。 
当然、警察が来ましたが、未熟児の状態では誰の子供かなんてわかる筈もありません。 
簡単な現場検証をした後、早々に引き上げていったそうです。

発見された日の夕暮れに、警察に本人もまだ子供な年齢の母親が出頭してきました。 
気になって戻ってみると騒ぎになっており、どうしたらいいのか分らなくなって、名乗り出たそうです。
女性の年齢が年齢だけに、確認が終わると後は内内で処理され、Sデパートの関係者にも緘口令が敷かれたそうです。
事件の夜、夜警に先輩の友人が当ったそうです。
その時点では皆も、気味が悪いな位にしか思っていなかったそうです。
それって普通な感性なのかと思われるかもしれませんが、
寒い冬の夜等、前日に駅の地下通路を追い出された浮浪者が、朝に外部シャッターを開けると横たわって凍死していた、
という事が年に何度かあります。
変な具合に慣れているのでしょう。 
先輩の友人も蛮勇なのか慣れなのか、そのまま巡回に出発したそうです。

婦人服売り場は、普通に巡回していれば1時過ぎに通りかかります。 
先輩の友人は、女子トイレの前に来て流石に緊張して、通路から辺りを照らしてみたそうです。 
店舗内には異常は見られませんが、何か変な気がしたので、もう一度懐中電灯を向けてみました。
そこにはマネキンが置かれているだけです。 
「異常なし」
その人はあえて声を出して確認したそうです。
するとマネキンの瞳が、目頭から目尻に向かってぐるりと動いたそうです。 
その人を見据えるように、一斉に他のマネキンもぐるりと視線を向けたそうです。 
背後にあるマネキンの視線までも背中越しに突き刺すように感じ、
その人は体中が硬直して、全くその場所から動けなくなったそうです。 
『南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…』
心の中でひたすら念仏を唱えたそうです。 

するとどのくらいか時間がたったのか、不意に体が動くようになり、
それまでの硬直のせいか、どっと倒れるようにひざが崩れたそうです。 
先輩の友人を突き刺していた視線も感じなくなりました。
しかし、体中から脂汗が染み出して、鳥肌と遅れて来た震えのせいで、
満足に立ち上がることがなかなか出来なかったそうです。

膝を突いて通路の床をしばらくじっと見ていると、不意に腰につけた無線の呼び出しがかかりました。 
『場所○○○発報!』
管理室からでした。感知器が反応しているという事です。 
条件反射で無線を手にとり、「発報了解」とうわずって答えたそうです。 
そのお陰かどうか、その人はそのやり取りで気持ちを落ち着ける事ができ、何とか立ち上がる事ができました。
場所は先輩の友人のいる場所の側。そう、女子トイレ前の感知器です。 
もうマネキンの視線を感じる事はありませんでしたが、目を向ける事ができなかったそうです。 

2mほど先にある警報機の解除ボックスの所まで行き、本来なら異常を確認しないといけないのですが、
そのまま解除→再設定としたそうです。 
「発報○○○異常なし」
管理室に連絡を入れ、その人はそのまま足早に立ち去ろうとしました。
しかし、一瞬視界の中に入った店舗の異変を遮る事ができず、
辺りにあるマネキンの首だけが、ぐっぐぐ…と女子便所の方に回りだしたのが視界に入ってしまったそうです。
しかも、首の動きとは逆に、瞳だけはその人の方を睨むように動いています。
『場所○○○再発報!』
腰の無線が怒鳴っていいますが、動く事ができなかったそうです。

そんな状態が数十分続いたので、管理室では先輩と何人かが借り出され、様子を見てくることになったそうです。
駆けつけてみると、その人は固まったまま立ち尽くしていて、
暗闇でも分る程汗をかき、紺色の制服はじっとりと濡れていました。 
先輩はとりあえず警報機を再設定して、友人に手を貸して待機所に戻ったそうです。 

先輩は、しばらくして落ち着いた友人から話を聞いたそうです。
その当時、婦人服売り場のマネキンは、瞳の部分をガラスがはめ込まれた物を使っていました。
普通はブラシで描かれているのですが、リース料金も変わらずチョット豪華に見えるので、
店内の全てのマネキンをガラス目にしていました。
そのガラスの瞳は、ライトを当てると視線を向けたかのように見えるので、その見間違いだろうと友人を慰めたそうです。 
警報機の発報はセットしても10分ほどで又再発報するので、故障だろうという事になり、
後日取り替えるまで解除したままで、その日は終わったようです。

先輩の友人は何日か休みを取り、気持ちを落ち着かせて、再度あの婦人服フロアの夜警に挑んだそうです。
きっと、そうしない事には、決着が着かなかったのでしょう。
休みの間、他の人が巡回しても特に怪現象はなかったそうです。
警報機はそれまでに何度も新品に取り替えたのですが、夜中になると無闇に発報を繰り返すため、
原因不明のままデコイ、つまり殺したままになっていました。 

先輩の友人が婦人服フロアを巡回したのは、前と同じ1時過ぎでした。 
気持ちを落ち着かせて、異常確認をしたそうです。
今度はマネキン達は動いていません。 
その人は『やっぱり気のせいだったのか』と思い、女子トイレの中に入っていきました。
そこも特に異常はなかったそうで、外に向かおうとしたとき、それが目の隅に映ったそうです。 
女子トイレには壁一面に化粧鏡があり、そのうちの1枚が用具入れの扉を映していました。
その扉が徐々に透けていくように見えたそうです。 
先輩の友人は、横に向いた顔を鏡に向ける事ができず、片方の目で鏡を凝視していたそうです。
すっかり扉の透けた用具入れは、白くて大きい洗面器を鏡の前にさらしていました。
その中には、溶けたような腕を洗面器の縁に掛け、
頭とおぼしきモノがゆっくりと立ち上がろうとしているのが見えたそうです。

その人は凄まじい勢いで先輩達のいる待機所に駆け込んできました。 
その後の夜警をすっとばして帰ってきたそうです。 
流石に先輩達も気味が悪くなり、そこにいる全員でその人の残りの巡回経路埋めたそうです。 

先輩の友人は翌日仕事を辞めました。 
そのせいかどうか、マネキンの瞳はガラスから再びブラシか、もしくはマネキンそのものを配置しなくなりました。
それまで鍵のなかった用具入れには鍵が付き、警報機は殺したままになりました。 

私は黙って先輩の話を聞き終わり、「それで、もう何も起きないのでしょう?」と声をかけると、
その時初めて、先輩の顔色が真っ青なのに気が付きました。
「いや、わからない。言っただろう?
 それ以来、俺を含めて誰も、夜警であの女子トイレを、まともに巡回する奴なんていないからな」
「でも、今日は何もありませんでしたよ」
私がそう言うと先輩は黙って、「そうか、そうみたいだな。おまえには」と言って、口をつぐんでしまいました。

私にはその後も、その場所では怪異と呼べるものはありませんでした。 
勿論、女子トイレは巡回していませんが。

先輩は私が仕事を辞めるまで、それ以上は話してくれませんでした。

私と巡回したその日、先輩は女子便所の鏡を見てしまったそうです。 
そこには、無数の子供の手の跡があり、それがどんどん鏡に映った先輩のほうへ移動していくのを。


 死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?3
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数年前、職場で体験した出来事です。

そのころ僕の職場はトラブルつづきで、大変に荒れた雰囲気でした。
普通では考えられない発注ミスや工場での人身事故があいつぎ、クレーム処理に追われていました。
朝出社して夜中に退社するまで、電話に向かって頭を下げつづける日々です。
当然僕だけでなく、他の同僚のストレスも溜まりまくっていました。 

その日も事務所のカギを閉めて廊下に出たときには、午前三時を回っていました。
O所長とN係長、二人の同僚と僕をあわせて五人です。
みな疲労で青ざめた顔をして、黙りこくっていました。
ところが、その日はさらに気を滅入らせるような出来事が待っていました。 
廊下のエレベーターのボタンをいくら押しても、エレベーターが上がってこないのです。
なんでも、その夜だけエレベーターのメンテナンスのために通電が止められたらしく、
ビル管理会社の手違いで、その通知がうちの事務所にだけ来ていなかったのでした。 
これには僕も含めて全員が切れました。ドアを叩く、蹴る、怒鳴り声をあげる。
まったく大人らしからぬ狼藉のあとでみんなさらに疲弊してしまい、同僚のSなど床に座りこむ始末でした。 

「しょうがない、非常階段から、下りよう」
O所長が、やがて意を決したように口を開きました。 
うちのビルは、基本的にエレベーター以外の移動手段がありません。
防災の目的でつくられた外付けの非常階段があるにはあるのですが、
浮浪者が侵入するのを防ぐため内部から厳重にカギがかけられ、滅多なことでは開けられることはありません。
僕もそのとき、はじめて階段に続く扉を開けることになったのです。

廊下のつきあたり、蛍光灯の明かりも届かない薄暗さの極まったあたりに、その扉はありました。
非常口を表す緑の明かりがぼうっと輝いています。 
オフィス街で働いたことのある方ならおわかりだと思いますが、
どんなに雑居ビルが密集して立っているような場所でも、表路地からは見えない『死角』のような空間があるものです。
ビルの壁と壁に囲まれた谷間のようなその場所は、
昼間でも薄暗く、街灯の明かりも届かず、鳩と鴉の寝床になっていました。 
うちの事務所はビルの7Fにあります。

気乗りしない気分で、僕がまず扉を開きました。 
重い扉が開いたとたん、なんともいえない異臭が鼻をつき、僕は思わず咳き込みました。
階段の手すりやスチールの踊り場が、まるで溶けた蝋のようなもので覆われていました。
そしてそこから凄まじくイヤな匂いが立ち上っているのです。 
「鳩の糞だよ、これ……」
N女史が泣きそうな声で言いました。
ビルの裏側は鳩の糞で覆い尽くされていました。
まともに鼻で呼吸をしていると肺がつぶされそうです。
もはや暗闇への恐怖も後回しで、僕はスチールの階段を下り始めました。 

すぐ数メートル向こうには隣のビルの壁がある、まさに『谷間』のような場所です。
足元が暗いのももちろんですが、手すりが腰のあたりまでの高さしかなく、ものすごく危ない。
足を踏み外したら、落ちるならまだしも、壁にはさまって宙吊りになるかもしれない……。 
振り返って同僚たちをみると、みんな一様に暗い顔をしていました。 
こんなついていないときに、微笑んでいられるヤツなんていないでしょう。
自分も同じ顔をしているのかと思うと、悲しくなりました。 

かん、かん、かん……
靴底が金属に当たる乾いた靴音を響かせながら、僕たちは階段を下り始めました。

僕が先頭になって階段を下りました。すぐ後ろにN女史、S、O所長、N係長の順番です。 
足元にまったく光がないだけに、ゆっくりした足取りになります。

みんな疲れきって言葉もないまま、六階の踊り場を過ぎたあたりでした。 
突然、背後から囁き声が聞こえたのです。 
唸り声とか、うめき声とか、そんなものではありません。 
よく映画館なんかで、隣の席の知り合いに話し掛けるときのような押し殺した小声で、ぼそぼそと誰かが喋っている。
そのときは後ろの誰か、所長と係長あたりが会話しているのかと思いました。
ですが、どうも様子が変なのです。
囁き声は一方的につづき、僕らが階段を下りている間もやむことがありません。
ところが、その囁きに対して誰も返事をする様子がないのです。
そして……その声に耳を傾けているうちに、僕はだんだん背筋が寒くなるような感じになりました。 
この声を僕は知っている。係長や所長やSの声ではない。
でも、それが誰の声か思い出せないのです。
その声の、まるで念仏をとなえているかのような一定のリズム。ぼそぼそとした陰気な中年男の声。
確かによく知っている相手のような気がする。 
でも……それは決して、夜の三時に暗い非常階段で会って楽しい人物でないことは確かです。
僕の心臓の鼓動はだんだん早くなってきました。 

一度だけ足を止めて後ろを振り返りました。 
すぐ後ろにいるN女史が、きょとんとした顔をしています。
そのすぐ後ろにS。所長と係長の姿は、暗闇にまぎれて見えません。

再び階段を下りはじめた僕は、知らないうちに足を速めていました。
何度か鳩の糞で足を滑らせ、あわてて手すりにしがみつくという危うい場面もありました。
が、とてもあの状況で、のんびり落ち着いていられるものではありません……。 

五階を過ぎ、四階を過ぎました。
そのあたりで……背後から、信じられない物音が聞こえてきたのです。 
笑い声。
さっきの人物の声ではありません。さっきまで一緒にいたN係長の声なのです。
超常現象とか、そういったものではありません。 
なのにその笑い声を聞いたとたん、まるでバケツで水をかぶったように、どっと背中に汗が吹き出るのを感じました。 
N係長は強面で鳴る人物です。
すごく弁がたつし、切れ者の営業マンでなる人物なのですが、
事務所ではいつもぶすっとしていて、笑った顔なんて見たことがありません。
その係長が笑っている。
それも……すごくニュアンスが伝えにくいのですが……子供が笑っているような無邪気な笑い声なのです。
その合間にさきほどの中年男が、ぼそぼそと語りかける声が聞こえました。
中年男の声はほそぼそとして、陰気で、とても楽しいことを喋っている雰囲気ではありません。
なのにそれに答える係長の声は、とても楽しそうなのです。

係長の笑い声と中年男の囁き声がそのとき不意に途切れ、僕は思わず足を止めました。 
笑いを含んだN係長の声が、暗闇の中で異様なほどはっきり聞こえました。 
「所長……」
「何?……さっきから、誰と話してるんだ?」 
所長の声が答えます。
その呑気な声に、僕は歯噛みしたいほど悔しい思いをしました。
所長は状況をわかっていない。答えてはいけない。振り返ってもいけない。強くそう思ったのです。 
所長とN係長は、なにごとかぼそぼそと話し合いはじめました。 
すぐ後ろで、N女史がいらだって手すりをカンカンと叩くのが、やけにはっきりと聞こえました。
彼女もいらだっているのでしょう。ですが、僕と同じような恐怖を感じている雰囲気はありませんでした。 

暫く僕らは階段の真ん中で立ち止まっていました。 
そして震えながらわずかな時間を過ごしたあと、僕は一番聞きたくない物音を耳にすることになったのです。
所長の笑い声。
なにか楽しくて楽しくて仕方のないものを必死でこらえている、子供のような華やいだ笑い声。 
「なぁ、Sくん……」 
所長の明るい声が響きます。 
「Nさんも、Tくんも、ちょっと……」 
Tくんというのは僕のことです。
背後でN女史が躊躇する気配がしました。
振り返ってはいけない。警告の言葉は乾いた喉の奥からどうしてもでてきません。 
振り返っちゃいけない、振り返っちゃいけない……
胸の中で繰り返しながら、僕はゆっくりと足を踏み出しました。
甲高く響く靴音をこれほど恨めしく思ったことはありません。
背後でN女史とSが何か相談しあっている気配があります。
もはやそちらに耳を傾ける余裕もなく、僕は階段を下りることに意識を集中しました。

僕の身体は隠しようがないほど震えていました。 
同僚たちの……そして得体の知れない中年男の囁く声は、背後に遠ざかっていきます。
四階を通り過ぎました……三階へ……足の進みは劇的に遅い。
もはや笑う膝を誤魔化しながら前へ進むことすらやっとです。 

三階を通り過ぎ、眼下に真っ暗な闇の底……地面の気配がありました。
ほっとした僕はさらに足を速めました。同僚たちを気遣う気持ちよりも恐怖の方が先でした。 
背後から近づいてくる気配に気づいたのはそのときでした。 
複数の足音が……四人、五人?……足早に階段を下りてくる。 
彼らは無口でした。何も言わず、僕の背中めがけて一直線に階段を下りてくる。 
僕は悲鳴をあげるのをこらえながら、あわてて階段を下りました。
階段のつきあたりには、鉄柵で囲われたゴミの持ち出し口があり、そこには簡単なナンバー鍵がかかっています。
気配はすぐ真後ろにありました。
振り返るのを必死でこらえながら、僕は暗闇の中、わずかな指先の気配を頼りに鍵を開けようとしました。

そのときです。 
背後で微かな空気を流れを感じました。 
すぅぅ……。 
何の音だろう?
必死で指先だけで鍵を開けようとしながら、僕は音の正体を頭の中で探りました。
とても背後を振り返る度胸はありませんでした。
空気が微かに流れる音。
呼吸。
背後で何人かの人間が、一斉に息を吸い込んだ。 
そして次の瞬間、僕のすぐ耳の後ろで、同僚たちが一斉に息を吐き出しました……思いっきり明るい声とともに!
「なぁ、T、こっち向けよ!いいもんあるから」 
「楽しいわよ、ね、Tくん、これがね……」 
「Tくん、Tくん、Tくん、Tくん……」 
「なぁ、悪いこといわんて、こっち向いてみ。楽しい」 
「ふふふ……ねぇ、これ、これ、ほら」 
悲鳴をこらえるのがやっとでした。 
声はどれもこれも、耳たぶの後ろ数センチのところから聞こえてきます。
なのに、誰も僕の身体には触ろうとしないのです!
ただ言葉だけで……圧倒的に明るい楽しそうな声だけで、必死で僕を振り向かせようとするのです。 


悲鳴が聞こえました。 
誰が叫んでいるのかとよく耳をすませば、僕が叫んでいるのです。
背後の声はだんだんと狂躁的になってきて、ほとんど意味のない笑い声だけです。 
そのとき掌に、がちゃんと何かが落ちてきました。 
重くて冷たいものでした。
鍵です。僕は知らないうちに鍵を開けていたのでした。 
うれしいよりも先に鳥肌の立つような気分でした。
やっと出られる。闇の中に手を伸ばし、鉄格子を押します。
ここをくぐれば、ほんの数メートル歩くだけで表の道に出られる……。 

一歩、足を踏み出したそのとき。 
背後の笑い声がぴたりと止まりました。 
そして……最初に聞こえた中年男の声が、低い、はっきり通る声で、ただ一声。 

「おい」


引用元: 死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?3
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私がビル警備員のバイトをしていた時の話です。 
場所は都内のSデパートですが、当時でも既に一般的な設備は乏しく、
防火シャッターの開閉は勿論、エスカレーターやエレベーターの設定変更等も、
中央管制で管理室から…という訳にはいかない処でした。

閉館になり、お客さんを導線に誘導し、Sデパート社員を無事に建物から追い出したら、

店舗内の異常がないか確認をしながら巡回します。 
そのデパートは、建物の構造上細長く、警備の巡回ルートもかなりの距離になります。 
そのせいで、私がI号ES(エスカレーター)の前を巡回したのは、待機所に近いにも関わらず深夜1時頃でした。

モーターの動く音がするので、防火扉を開けて中を覗いて見ると、I号ESが起動している音でした。 
私は管理室に無線で確認を取ると、メンテは入っていない。
ES停止の担当者が停止し忘れたのだろう、とのことです。 
ESの制動鍵は巡回者全員が所持しているのので、当然ついでに止めておいて欲しいと連絡を受け、
恐らく仮眠室で眠りについている担当者に悪態をつきながら、
私はいつものように鍵を差し込み、停止ボタンを押して、ESを停止…停止…しませんでした。 
古い建物です。設備もがたがきていても不思議はありません。 
そういえば、頻繁にI号ESはメンテをしています。 
担当者はESを停止したくてもできなかったのではないのか。
だとすると、管理室に報告が入っているはずです。
私は再び管理室に無線を入れました。
しかし返ってきた答えは、それならば最初の連絡時に伝えるとの事。そりゃそうです。 
止まらないのなら、それは仕方のない事です。私は対応を尋ねました。 
すると、無線のノイズとは別に、なにやら異音が聞こえます。

からかっかっ…とクラッチを入れ損ねたような乾いた音。
次いで、ごおん、ぐぎょぎょ…じゃり、じゃり…と濡れた砂利道を踏むような音がします。 
私は余りに場所にそぐわない突然のその音に、身動きが取れません。 
後で考えると、音の中に「…て…て…な…」と声が聞こえたような気がします。 
呆然と立ち尽くしていると、突然I号ESは停止しました。 

しばらくして正気に返った私は、事の次第を、I号ESが怪音を発しながら停止した事を管理室に告げました。 
すると、整備業者に連絡をとったので、いったん待機室に戻り、着き次第作業の立会いをするように言われました。
最悪です。 


1時間と待たずに業者は到着しました。 
整備業者は何も言わずI号ESに向かって行きます。 
私は管理室から連絡を受けたのだろうと思い、慌てて後を付いて行く格好になりました。 

I号ESに着くと、おもむろに業者は整備ハッチを開け、ESの下に潜っていきます。
私は黙ってES室から離れた場所に立ち会っていると、
ほんの10分もしない内に、ごうん、ヴィーンと音を立てて、ESは私に向かって登るように動き出しました。 

しかし、その後待てど暮らせど業者が出てきません。 
更に10分ぐらいすると、下の方から人影がESに乗って登って来るのが見えました。 
私は業者が下のハッチから出たのかと思い、「ご苦労様です、早かったですね」と声をかけました。
しかし、確かに人影に見えたのに誰もいません。
ただ、空気が揺らいで、ESに人が乗っているかのように見えるだけです。 
私は突然全身を恐怖に襲われて動く事が出来ません。 
口をパクパク上下させるだけで声も出ません。 

10分ぐらい固まっていたでしょうか、突然無線から応答があり、
それを合図に全身の緊張が解け、カラダが動くようになりました。
管理室からでした。
整備業者が到着したので、早く待機所に戻って来いと怒鳴っています。え?…


後で聞いた話によると、
I号ESは以前整備中にESが動いて、ベルト(足を乗せるところ)巻き込まれて死んだ人がいるそうです。 
その後も1人同じように亡くなり、事故が絶えないESだそうで、整備業者の人も作業を嫌がっていました。 

時給は良かったのですが、これ以外のことも起き、私はこの仕事を早々に辞めました。


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高校のときの話。当時の仲の良い友人が「週末、家に泊まらない?」って誘ってきたんだ。 
「親もいなしさ、酒でも飲もーぜ」って。
特に用事もなかったけど、俺は断った。
それでもしつこく誘ってくる。俺が「他をあたれよ」って言っても、なぜか俺だけを誘ってきた。 
あまりにもしつこいので、「なぁ、お前一人じゃ怖いのか?」ってからかってみたら、友人は急に黙り込んだな。
「なんだ、図星か?」って追い討ちをかけてみると、突然真面目な顔になって、「なぁ、お前、幽霊って信じるか?」なんて言ってきた。
俺はなんだこいつって思いながら、「まぁ、見たことは無いけど、いないとも言い切れないかな」って答えたんだ。 

 「じゃぁさ、週末に家に来いよ。幽霊はいるって解るよ」なんて言いやがる。 
「ふ~ん・・・・で、見に来いっての?でも止めとくよ」って言うと、
泣きそうな顔で「頼むよ、来てくれよ」って言うのよ。
「じゃぁ、具体的にどんな幽霊なんだ?」って聞くと、
「毎晩12時くらいに階段を1段ずつ昇ってきてる。そして週末にちょうど家の前に来るはずだ。
 その時、一人なのが怖いんだ」
って、本当に怖がりながら言うんだ。 
しつこいのもあるけど、ちょっと面白そうだなって気持ちがあって、「解った、行くよ」って言うと、
「ありがとう、ありがとう」って繰り返し言ってた。

そんなこんなで週末に友人宅(マンション)に訪れて、
他愛の無い話や、テレビを見たりゲームをしたりして遊んでた。
そして、23時半くらいになって幽霊の話を始めた。 
「なぁ、幽霊が階段を昇って来るってどういうことだ?」 
「一週間くらい前から、家の前の階段を昇って来る足音がするんだ。でも俺にしか聞こえてない。
 親に言っても、そんな音は聞こえないって言う」 
「んで、今日階段を昇りきるっていうの?」 
「ああ、階段を数えたから間違いない。確かに今日、家の前に来る」 
「通り過ぎるってことはないのか?まだ上もあるだろ?」 
「それも考えられる、だけど家に来るかもしれない。それが怖いんだ」 
「ふ~ん・・・」
などと話をしてると、友人が「おい、聞こえるだろ?足音」って言う。でも自分には何も聞こえない。 
「全然聞こえないよ」
「なんでだよ、聞こえるだろっ。ほら、また一段昇っただろ!?」 
「落ち着けって、何も聞こえないよ。気のせいだろう」 
「なんでだよ、なんで聞こえないんだよ!ほら、ほらっ!」 
「聞こえないって、落ち着けよ!」
イラつきながらなだめようとする。 
でも、もう友人はこっちの話を聞こうともしない・・・。 
「止まった!!今、扉の前にいる!!!」 
「じゃぁ、開けて見てこようか?」っていうと、激しく止めてきた。
「止めてくれ!開けないでくれ!!いるんだ!そこにいるんだ!!」 

「大丈夫だろ!何も無いじゃないか!」
こっちも語気を荒くしてなだめようとする。 
すると、急におとなしくなったかと思うと、友人はこう言った。
「・・・ダメだ、ずっとこっちを見てる。もう・・・逃げられないよ」 
「!?おい、何言ってるんだ!?何も無いだろう!?大丈夫だろ!?」 
友人の一言が、異常なほど恐怖心を駆り立てた。
「!!叩いてる!扉を叩いてるよ!!」って言ったかと思うと、
「うおおおおおおおお」だか「うわあああああああ」だか叫びながら、友人は扉に向かって走っていった。
あまりの突然のことに、俺は体が動かなかった。 

友人は叫びながら、扉を開けて外へ出て行った。
俺も慌てて追いかけたけど間に合わなかった・・・
友人は踊り場から身を投げていた。 
訳が解らなかった・・・何が起きたのか・・・

記憶に残ってるのは、その後の警察の取り調べからだった。 
何が起きたのか、どういう状況だったのか、自分の覚えてることを全て話した。 
意外なことに警察はあっさりしていた。もっと疑われると思ったからだ。 

意外なことはまだあった。警察官が呟いた一言だった。 
「またか・・・」 
またか?何だ?またかって!?不自然な言葉を疑問に思って聞いてみた。 
「またかって、どういうことですか?」 
「・・・あまりこういうことは言わないほうがいいかも知れないけど、君も関係者だし、知っていてもいいかもしれない」
と話してくれた。 
それは、友人のような自殺(変死?)が初めてではないこと、
同じ事が同じマンションの同じ部屋で何度か起こっていること、
原因が警察でも判らないことなど。

結局友人の死は、ノイローゼによる突発的な自殺ということになった。 
悲しみというより、驚き。何がなんだか解らないまま終わっていった。 
結局友人は、何を聞いて何に恐怖していたのか・・・。 

全て終わったと思ったとき、電話があった。死んだ友人の母親からだった。 
『夜分恐れ入ります。先日は、大変ご迷惑をおかけしました』
「あ、いえ、こちらこそ・・・」と言葉を探っていると、
『あのぅ変なことを聞くかもしれませんが・・・家の息子は、確か死にましたよね?』
「え?」 
何を言ってるんだろう。お通夜も告別式もやったじゃないか。 
まさか、息子を亡くしたショックでおかしくなってなってしまったのか・・・と思ってると、
『実は・・・今、誰かが扉を叩いてるんです・・・』
 

ほんのりと怖い話スレ その1

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自動車事故にあって鞭打ち症になったAさんは、仕事もできなさそうなので、会社を一週間ほど休むことにした。
Aさんは結婚しているが、奥さんは働いてて昼間は一人だった。
最初の数日は気楽だったが、さすがに3日目くらいになると暇をもてあましてきた。
それでもどこかへ出かけるには体がつらいので、家でじっとしていなければならなかった。

そんなある日、お昼も過ぎた頃、ぼんやりとテレビを見ていると、
上の階の部屋からドスンドスンと音がして、子どものはしゃぐ声が聞こえてきた。
学校が休みなのかといぶかしく思ったけれど、気にもとめなかった。

そして翌日も、昼頃から子どもの声が聞こえてきた。
どうやら上の家には子どもが2人いるようだ。
Aさんが住んでいるのは大規模なマンション住宅地だが、
昼間は意外とひっそりとしており、子どもたちの声は階下のAさんのところにもよく聞こえた。
しかし、うるさく感じることもなく、むしろ退屈さと団地の気味の悪い静けさを紛らしてくれるので、ありがたかった。

そして翌日、暇をもてあまし、昼食を作る気もうせたAさんはピザを注文した。
30分ほどでやってきたピザは思ったより量が多く、Aさんは結局まる一枚残してしまった。
普通なら奥さんのためにとっておくのだが、ふと階上の子どもたちのことを思い出し、
親切心も手伝ってAさんは、上でに持って行ってやることにした。

Aさんは自分の真上の部屋に誰が住んでいるのか知らなかったが、呼び鈴を押した。
気配を感じたが応答がない。
もう一度呼び鈴を押した。
のぞき窓から見られているような気がした。
かすかに「どなたですか・・・」という声がドアのむこうからした。
Aさんは、階下の者であること、ピザが余ったのでもらってほしいことを話すと、ドアがかすかに開いた。

家の中はやけに暗かった。
5センチほどの隙間から、女性が顔を半分のぞかせた。
女性はひややかに言った。
「ありがとうございます。でもいりません」
うす暗くて顔の表情がよく見えない。
Aさんは急に自分が場違いなところにいるような気がしてきたが、もう一度わけを話し、子どもたちにあげてくれるよう頼んだ。
ドアの隙間から生暖かい空気が流れてきた。嫌な臭いがする。
ふと、女性の顔の下に子どもの顔がふたつ並んだ。
ドアはほんのわずかに開いたまま。
2人の子どものうつろな目が、こっちをじっと見ている。
三人の顔が縦一列に並んでいる。
「じゃあ・・・そう・・・いただくわ」
Aさんはドアの隙間にピザの箱を入れると、すっと真横から手がのびてきてうけとった。
3つの顔はドアの隙間からAさんを見つめている。
「ありがとう・・・」
かすかな声が聞こえた。
Aさんはそそくさと退散した。

気味が悪かった。何かが違和感が頭の片隅にあった。
子どもの顔が脳裏に焼き付いている。
顔・・・
背中がぞくぞく震えだした。
・・・顔、並んだ・・・
足早になる。一刻も早くあの家から遠ざかりたかった。
エレベーターがこない。
・・・並んだ・・・縦に・・・
ボタンを何度も押すがいっこうに来る気配にない。
非常階段にむかう。
ひどく頭痛がした。吐き気もする。
非常階段の重い扉を開けるとき、Aさんは背中に視線を感じた。
振り向くと、10メートルほどむこうの廊下の角に、3人の顔があった。
ドアの隙間から見たときと同じように、顔を半分だけ出して、うつろな目でこちらを見つめている。
冷え冷えした真昼のマンションの廊下にさしこむ光は、3人の顔をきれいに照らし出した。
Aさんは首周りのギブスもかまわず階段を駆け下りだした。
普段は健康のためエレベーターを使わず、いっきに4階まで階段を駆け上がることもあるAさんだが、
上までが途方もなく長く感じられた。
・・・・縦に並んだ顔・・・・ありえない・・・・・・
・・体が・・・ない・・・
そして、顔のうしろにあった奇妙なものは・・・
頭を・・・支える・・・手・・・

そのあとAさんは、近くのコンビ二で警察を呼んでもらった。
警察の捜査によれば、Aさんの階上の家では、その家の母親と子どもの死体が風呂桶の中から見つかった。
死体には首がなかった。首はのこぎりで切断されており、死後3日ほどたっていた。
その日のうちに夫が指名手配され、やがて同じ建物内で隠れているところを逮捕された。
母親と子どもの首もその男が一緒に持っていた。
男が発見されたのは彼の家ではなかった。
警官が血痕をたどっていったところ、彼が隠れているのを見つけたのだった。
警察によると、彼はAさんの家の押入れの中に潜んでいたそうだ。


引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?2

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例によって何人かで集まって怪談話しをしているとき、そのうちの1人が言い出しました。
 
「今から話す方法で、自分に霊感があるかどうかが判るんだって。まず頭の中で、自分の家の自分の部屋にいるイメージを思い浮かべて、そして、そこから順番に全部の部屋を覗いて回っていって、もしその途中で、どこかの部屋で自分以外の誰かに会ったら、霊感が強くて、見える時には見えちゃうんだって」

 それで、その時はその話を聞きながら、みんな試してみたそうですが、誰も“出会った”人はいなかったそうです。

ところが次の日、その中にいた1人がこう打ち明けてきました。

「実は私、あの話を試してた時に、会っちゃったんだ・・・。

部屋に行ったら、見たとこもない男がそこへ座り込んで、私を睨んでいたの・・・。

その時は、ちょっとびっくりしただけだったんだけどね・・・。

でもその日、家に帰ってその部屋に行ったら、

その男が同じ場所に座り込んで、私をじっと睨んでたの・・・」

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テレビ番組の制作会社でバイトしてた時に聞いた話。

俺がその会社に入る前に仕事中に死んだ人がいるって噂を聞いたんだけど、
普段はタブーで絶対誰も教えてくれなかった。
で、結局俺が会社やめる事になって送別会開いてくれた時、ようやく話してくれたんだ。

当時もその会社、たいした仕事が取れなくてぱっとしなかったんだけど、


その事件があった年は、社長が投資でハマッて会社の金とかも使い込んだらしく、
会社が潰れるかもしれないって状況だったらしい。
2ヶ月くらいまともな仕事取れてない。
そんな中、営業の人がやっと取ってこれたのが『雪山の観測ビデオ』の仕事。
普段だったら、そういうのは予算もかかるし、ギャラ払って専門のチーム呼ばなきゃいけないから当然断る。
ノウハウとかないしね。
でも、その時はどうしても現金が欲しかったのもあって、受けちゃったんだって。
みんな会社が潰れるかもって必死だったから、
学生時代に山岳部だったY田さんとM岡さんが、
「大丈夫ですよ。冬のアルプスにだって登ったことあるんですから」
って社長にOK出させて、ろくに準備もせずに現地に入った。

でも、山に入った予定の日から現地の天気は最悪で連絡も取れない、
帰って来る予定の日になっても連絡は途絶えたまま。
当然大騒ぎになって、警察に連絡したり現地まで行って捜索隊に依頼したりしてたとき、
急に東京のオフィスにM岡さんだけが帰ってきたんだって。
当然「Y田は?」って聞いたらしいんだけど、M岡さんは全然要領を得ない。
っていうか何か様子がおかしくて、病院に連れてったらしい。

その時いた先輩が、M岡さんを病院に連れて行って帰ってきた時、
上着とか色々預かってたものの中に撮影済みのビデオテープを見つけて、数人で会社のモニターで見たんだって。
それにはこんな内容が映ってたらしい。
「今、××山脈のどこかの山小屋にいます。もう4日もここにいることになります。
 私は×××制作のM岡と言います。バディのY田は、ここに着くまでの怪我で昨日死にました。
 おかしな事がおこっています。
 私は昨日、Y田をこの小屋の外に埋葬しました。
 ところが今朝浅い眠りから眼が覚めると、隣にY田の死体がありました。
 何を言っているのかお分かりでしょうか?私にもよく分かっていません。
 さっき、私はまたY田を埋めてきました。
 何かおかしな事がおこっています」
そして、M岡さんはそう言ったあと、カメラをいじって小屋の隅でうずくまってしまったそうだ。
カメラはよく植物の成長を撮る時に使うコマ送り録画にされたみたいで、淡々と1分置の映像が映されてたらしい。
そのままずっと映像が変わらなかったんで、みんなは早送りして見てたらしいんだけど、
M岡さんが完全に寝きってから2時間たったころ、そこに映ってたのは、
Y田さんの死体を掘り起こしてたM岡さんだった。

その映像を警察に届けて、Y田さんの死体は発見されたんだけど、死後かなりの損傷があったみたいで、
一緒に小屋で発見されたノートには、
『何度もよみがえって俺を呪い殺そうとしてる。今度こそ絶対戻ってくれなくしてやる。』って書いてあったらしい。

M岡さんは心身喪失で逮捕はされず、今も入院している。

 
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その晩は雨が強く降っていた。
現場に着き、トンネルの手前で車を脇に寄せ、一時停車。
その手の感覚は鈍いほうだが、不気味な雰囲気は感じた。
『恐い場所だ』という、先行イメージのせいもあるだろうが。

しばらく休憩の後、ゆっくりと車を進め、トンネルに進入開始。 

 こういう体験は初めてなので、ワクワクするような妙な高揚感を感じる。
友人達もいい年して遊園地の乗り物を前にした子供のような表情で、目を輝かせていた。
それほど寂れた場所ではないとは思うのだが、後続の車は来なかった。
なのでスピードをかなり落として進んだ。何かが起こる事を期待しながら。

しかし特に何も起こらず、トンネルの終端まで着いてしまった。
トンネルの壁などを観察していた友人たちも、別に妙なモノを見たわけではなさそうだ。
「もう1度いってみよう」と提案が出て、皆賛成した。
車をトンネルの端でUターンさせた。

何も起こらなかった。
不満なので(と言うか暇なので)、何度が往復してみようという事になった。
雨が強くなってきたのか、雨粒が車を叩く音がうるさくなってきた。

3,4往復ほどしただろうか。友人の1人が「おい、もう帰ろう」と言い出した。 
何も変わった事も起こらず、飽きてきたのだろうと思った。
だが、何か声の調子がおかしかった。

トンネルの出口が見えるあたりで一旦車を止め、後ろを振り向いた。
帰ろうと言い出した友人は肩を縮め、寒さに震えるような格好をしている。
もう1人はその様子を見てキョトンとしている。
「え、どうした?何か見えたのか?」と聞いたが、「いいから、とにかくここを出よう」と言う。
“何か”を見たのか?期待と不安で動悸が激しくなってきた。
雨は一層酷くなり、ボンネットを叩く音が耳ざわりに感じる。
とにかく一旦ここを出て、どこか落ち着ける場所を探す事にした。

国道沿いのファミレスに寄り、ようやく一息ついた。
夏も近い季節だというのに凍えるように震えていた友人も、ようやく落ち着いてきたようだ。
「なぁ、もう大丈夫だろ?何を見たんだよ」
「聞こえなかったのか?あれが」
友人は怪訝そうな顔で僕達を見た。
妙な怪音の類か?それとも声?しかし、僕には心当たりはなかった。
もう1人の友人も、何が何やらといった表情をしている。
「別に何も・・・まぁ、運転してたし、雨もうるさかったしなぁ」
「聞こえてたじゃんか!」
いきなり声を張り上げられて驚いた。
深夜なのでファミレスにはほとんど人はいなかったが、バイトの店員が目を丸くしてこちらを振り向いた。
しかし、彼が何を言っているのか理解できない。
「何が聞こえてたって?はっきり言ってよ」
気恥ずかしさと苛立ちもあって、少し強い口調で言ってしまった。

しばらく重い沈黙が続いたあと、彼が口を開いた。
「雨だよ、雨の音。俺達はずっとトンネルの中に居ただろ!なんで雨が車に当たるんだよ!」

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